サッカー選手のキャリアは、決して長くはない。
わずか数年で表舞台を去る選手は数知れず。
最前線で戦い続けた年数が2桁に達しようものなら、それはもう立派な「息の長い」選手だ。
だからこそ、成長過程にあるサッカー選手は、
数カ月、いや時には数週間で、それまでと見違えるような選手に変貌していることがある。
そんな劇的な進化を、我々は「覚醒」と呼ぶ。
我がヴェルディにも、ついにその天賦の才を発揮し、覚醒を果たした選手がまた一人生まれた—―
前回
「四国はいいぞ」Football Manager日記(&四国旅のすゝめ) Vol.16 - 緑がちる
の続き。
さて、その選手の名は石浦大雅。
下部組織出身の19歳、独創的なアイデアでチャンスメイクができるレフティだ。
前回ブログを更新した時点(2021年J2:第30節まで消化)では、
石浦は8試合出場(うち途中出場4試合)、0ゴール0アシスト。
コンスタントにベンチ入りの機会は得ていましたが、厚い中盤の層にあってなかなか試合には絡めず。
とはいえ、トレーニングでの評価は常に高く、
毎週行われるリザーブチームの練習試合でも、日増しに存在感を高めていました。
そんな彼の状況を変える出来事が、2つ。
1つ目は、第31節ホーム秋田戦での0-0ドロー。
地力で勝る相手を終始攻め立てるも、局面でのアイデアを欠き、最後まで相手ゴールネットを揺らすことはできず。
チームは首位を守りましたが、中盤のメンバー構成にもややマンネリ感がみられてきたこの頃。
私緑がちる監督も「ピッチに新しい風を吹かせる選手が欲しいなァ」と、メンバーのテコ入れをぼんやりと意識し始めます。
そして、もう1つ。
第32節ホームザスパクサツ群馬戦では、
ともに主軸である森田晃樹と山本理仁が、U23日本代表に選出。
チームを一時離脱することに。
監督も、メンバー交代を「ぼんやり意識する」どころではない事態に。
そこで中盤の代役として白羽の矢が立ったのが、彼、石浦大雅だったのです。
ところがこの試合、いきなり出鼻をくじかれます。
開始5分。
・・・まさに大前の独り舞台。
やはり王様である彼を少しでも自由にさせると、あっという間にゲームを動かされてしまいます。
東京V1-0群馬
その後、端戸が、小池が、佐藤優平が、さんざん相手エリア深くまでボールを持ち込み、雨あられのようにシュートを放つも、
相手GK清水の再三の好セーブもあり、1点がとてつもなく遠い。
そんな状況を変えたのが、”彼”の左足でした。
70分、
非の打ちどころのないボールの受け方から、左足で完璧に巻いた某アセンシオさんを思い起こさせるファインゴール!!
見事起用に応えた石浦のゴールで、ついにヴェルディが追いつきます!!
東京V1-1群馬
試合はこのままドローで決着。
下位相手に痛い引き分けとはいえ、石浦の活躍で勝ち点1を拾えた、ともいえるでしょう。
続く第33節、アウェイ京都サンガ戦。
代表組の森田と山本はチームに戻ってきましたが、石浦は前節の活躍を受けてスタメンを守り抜きます。
前半8分に、加藤弘堅が直接FKを沈め、早くも先制!
京都0-1東京V
いい流れで迎えた前半30分、またも加藤のプレースキックが歓喜を呼びます。
またも石浦が大仕事をやってのけました!!
これで2試合連続ゴール。
京都0-2東京V
その後も、平ボニフェイスのCBコンビが京都FWウタカを完封し、
加藤と石浦が自在にゲームを操ります。
前半41分に加藤のPKで追加点を挙げたヴェルディが、
そのまま後半も危なげなく乗り切り、見事勝利!!
京都0-3東京V
この2試合、そう、わずか2週間だけで、
その活躍ぶりは、昇格に向けたラストスパートをかけたい、
そんなチームの起爆剤になりうるものでした。
当然、代表帰りのライバル、山本や森田もうかうかしていられないでしょう。
チームがプラスへプラスへと作用する大きなきっかけとなる、
そんな一選手の「覚醒劇」なのでした。
では。
・・・ここで終わらせてくれないのが、このゲームのいやーなところ(笑)
そんな石浦の活躍ぶりに、反応したのがこの男。
彼の代理人の木村とかいう男、早速契約条件のアップを求めてきました。
一選手のとある覚醒劇は、
チームのお財布をマイナスへマイナスへ導く効果もあったのです(笑)
「・・・ってかまだ2試合しか活躍してねえだろ!覚醒か確変かもわかったもんじゃねえ!!
そんなんでそうホイホイと給料上げられるか!!」
先程までの100%賞賛に満ちた気持ちはどこへやら、
一転して心の中でそう毒づく僕ですが、
かといって、飛ぶ鳥を落とす彼の勢いに水を差すわけにもいきません。
おとなしく契約条件は上げてやることにしました。
(まあ最低移籍金の条項だけは絶対認めねェけどな!!!!)
これで人件費超過してクビ、とかなっても
もう俺知らんし。けっ。
ほんとに難儀なゲームです。
では。