緑がちる

緑はいつか散ります。でもまた実るものです。ヴェルディ&FM日記(予定)

2023年東京ヴェルディのスカッドを、ちょっとだけ掘り下げて考えてみた。

2023/1/10、やけにウキウキなコメントと共に、俺らの至宝森田晃樹が契約を更新。

このニュースをもって、2023年のヴェルディ開幕スカッドはほぼ決まり、といえるでしょう。

まだ背番号10は空いているし、我らが城福監督もシーズン初トレーニングを終えたあと「(編成について)すべての可能性は封印していないということです」と仰っているとはいえ、じゃあ誰かさらに助っ人って言っても、この時期に呼べそうなレベルっていったら、俺の頭に浮かぶのは、すぐ半裸になって己の肉体美を誇示しがちなガチムチアタッカー、ジャイルトンパライバくらいなもんで。彼、今何してんねやろ。

何やらキャンプに練習生も参加しているみたいですし、さらなるオプションが増える可能性はありますが、まあ現段階でチームの骨格はしっかり固まったかと。

 

さて、昨年も当ブログでこのような記事を書いたので、今年もやってみたいと思います。

先に断っておくと、昨年の記事では”期待感を可視化してみた”なんて大層なタイトルをつけているのだけど、今年のそれはややトーンダウンした表現になっているのですが…(笑)

あの、別に今年のチームが期待できない、とかそういう話では全くなく、ただ改めてFootball Labの数値なんかをいろいろ眺めてうんうん考えていた時に、やっぱりサッカーを何かしらの指標で可視化する、って相当難しいよなあ…って考えに至った次第で。

具体的に言うと、昨年の横浜FC。言い方はアレですけど、チームの指標はともかく、個人指標を見る限りは、ぶっちゃけブローダーセンと小川以外はあんまりパッとしないと思うんですよ。そんなチームが、熊本や岡山、山形のような指標優秀な選手を抱えるチームに競り勝てた事実。

反則級のGKとFWがいれば、J1なんて簡単に上がれます」という古からの「それを言っちゃあオシマイよ」論をそっくりなぞったようなチームの存在に、「指標あれこれ見ながらヴェルディの行く末を語ったろ!」とか考えてた俺の心はがっつり折られたわけで。

安易に”可視化”なんて表現を使っちゃいかんなあ…と反省して、今年は”ちょっとだけ掘り下げて考えてみた”。がっつり予防線(笑)

ま、首位でJ1に羽ばたいていった新潟の選手なんかは、Football Labでみても凄まじいスタッツを叩き出しているわけなんですけどね。

すんません、その辺の分析については、俺なんかより博識な方がごまんといると思うので、まあ、「それっぽいこと言ってんなあ」と思いながら、本記事を読んで頂けると幸いです。また予防線。

 

では、今年のヴェルディスカッドを、昨年と比較しながら、語っていきましょうか。

 

早速ですが、今年のスカッド。率いるは、我らがJFKこと城福監督。今年もよろしくお願いします。

年末はなかなか契約更新の一報がなく、サポーターをやきもきさせたものですが、サインする間もなくオフ返上で西へ東へ奔走されていたようで。昨シーズン、破竹の6連勝で終えたチームの完成度は本物だったのか。今季は彼の真価も問われるシーズンとなります。

基本戦術は、昨シーズン中盤~終盤戦同様4-4-2と予想。

CBのンドカボニフェイス、CMFで覚醒を果たした馬場、CFの佐藤凌我と、GK以外のセンターラインの核をごっそり抜かれた点は間違いなく痛手ですが、J2での実績豊富なCB千田やCMF齋藤、J1からサプライズ移籍となったRSB宮原等、計算できる中堅どころの選手を確保し、戦力ダウンは最小限に留めた印象です。点取り屋については、新外国人マリオ・エンゲルスに加え、目下急成長中のルーキー山田や、完全復活を期すベテラン阪野らに期待、といったところでしょう。

 

仰っている方も多かったですが、4-2-3-1の布陣もありそうですよね。

個人的には、華のあるテクニシャンである森田齋藤が無理なく共存できる点にロマンを感じます。齋藤加入時には「森田の穴埋めか?」みたいな意見もちらほら見られたわけですが、個人的には齋藤のほうがより得点の匂いがする選手であり、一方球際の強度でいえば森田に分があると感じており、このような配置がしっくりくると思ってます。あと、アビスパからやってきた北島も「本職はトップ下」みたいな話をちらっと小耳に挟んだけど、本当かな?

そうそう、昨年の左右非対称型4-4-2(RSHに仕掛けられる選手を置き、LSHはプレーメーカータイプが担う)であれば、齋藤はLSHの梶川ロールを任せうる選手かなあ、とも思ってます。カジ同様突破力には欠ける選手だけど、同じくらい走れるし、気のきいたパスも出せるし、何よりミドルという武器があるので。んま、正直そのポジションのベストチョイスは、縦への推進力があり、中に入ってのプレーも飄々とこなす井出だったよなあ、と、仙台戦を生で観ていた身としては今でも思うのですが、ケガで試合に出られないことには仕方がない。神戸でもう一花咲かせてほしいなあ。

 

その辺の詳しい話は、後ほどFootball Labの数字を見ながら詳しくするとして、

ここで一度、昨シーズン開幕時のスカッドをおさらい。記載してある成績は2021シーズン、年齢は昨年時点のものです。

なお、昨年2/16に加入が発表されたアルハンについては、この表に含まれておりません。ご了承ください。Maaf.

あと、退団が決まった選手は、名前の色を薄くしています。

さて、昨年のスカッドの特徴は、小池純輝佐藤凌我という明確なフィニッシャーを2枚確保しており、彼らに点をどう取らせるか?を逆算していけばOK、という点だったと思っています。

だからこそ、佐藤優平が抜けたとはいえ、彼らへのラストパスを供給できる梶川や山本理仁、森田や石浦といったパサーの面々の層は依然厚かったし、布陣についても、小池純輝の持ち味を最大限活かすために、4-1-2-3の継続がマストだった、と。

 

だが、ここで2つの誤算が。

 

ひとつは小池純輝の不調。

昨年のこの記事でも言及しましたが、指標から見ても元々小池は得点以外の貢献度がかなり低かったのですが、それに加え昨年はフィニッシュの局面もいまいちピリッとしなかった。動き出しの質なんかは錆びついていなかったように見えましたが、まあゴールは水物とはよく言ったもので、初ゴールは第17節の秋田戦まで待たなければいけなかった。その頃既にチームは歯車が狂い始めており、結果的に新指揮官城福氏の就任後、彼の出場機会は大幅に減ることになります。

 

もう一つはいい意味での誤算、新井瑞希の完全覚醒。

一昨年終盤戦の勢いそのままに、シーズン序盤、背番号10はそのドリブルスキルで次々とチャンスを創出し続けました。

一方、あまりにも鮮烈なパフォーマンス過ぎたがゆえに、結果としてチームの攻めの形が彼のドリブルに依存しすぎたきらいはあり、当初思い描いていた“フィニッシュはエーコと凌我”というチームの青写真と、実態が食い違ってきてしまった、と俺は思っています。

結局彼は夏にポルトガルに去りそしてすぐに帰ってきたな?、チームはドラスティックな変化を余儀なくされました。就任当初は既存の戦い方を選択した城福氏も、世代屈指のCF染野のレンタル加入もあり、最終的には強度と縦への速さをより求めた4-4-2での戦いに舵を切りました。

元々2代前の永井政権と比較すれば、堀前監督だって随分と縦志向のチームにシフトしていたわけだけど、その流れがさらに加速することに。

 

監督自身の言葉を借りれば“リカバリーパワー”、

多少のボールロストには目を瞑るけど、その分ボールをすぐ取り返す球際の強さや、攻守が目まぐるしく入れ替わる展開についていける走力集中力があるかどうか?が強く求められるようになり、それこそ石浦のような繊細な天才肌のパサーなんかはもろに割を食う形となりました。彼だって昨オフのトレーニングの賜物か、だいぶ走力をつけてきてたんだけど、でもまだ足りないっていう…

 

そんなことを考えながら、改めて今季のスカッドを見てみましょうか。

あと、昨年と同じ比較軸を用いて、チームの変化も追ってみましょう。

 

保有人数:33人→32人

昨シーズンとチーム総数はほぼ変化なし。昨年は山本理仁と馬場がU代表で一定期間離脱することが濃厚だったため、CBとDMFを厚めに獲っていました。

最終的に開幕直前にはアルハンの加入で34名の大所帯となったものの、夏に山本と新井は移籍してしまいましたし、阿野と端戸もレンタルで放流されましたし、一方で夏の加入は染野だけでしたし、なんなら井出とか阪野あたりはケガでシーズンの大半不在だったりしたもんで、選手層のダブつきは感じない1年でした。一度コロナ蔓延でチーム活動がストップ、なんてこともあったね…

ただ、今年は昨年と比べ、より稼働率が高い選手を獲ってこれたイメージですし、十分な選手の数を揃えた印象です。これ以上の加入はあっても1人ですかね。

 

平均年齢:24.6歳→25.6歳

平均年齢は+1歳。ユースからの昇格が2005年以来の0名だったことに加え、10代~20代前半のユース卒選手も、買われていったり武者修行に出たり、と、近年のヴェルディでは類を見ないレベルで数が減ったことが影響しています。

一方で、今年も大卒選手を5名獲得しており、新加入選手はいずれも20代ですから、チームの新陳代謝はしっかりと図れていることが分かります。ってか、この年齢層でも十分若い部類のチームだからね。

 

OVER30比率:21.2%→18.8%

ここは昨年とほぼ同じメンツ。端戸が抜けただけですね。

このデータはあくまで4月1日時点のものですが、竜士やマテウス、新加入のエンゲルスといった面々が今年30歳を迎えるので、シーズン終盤にはだいぶ構成比は変わってくるかな。

 

20歳以下比率:21.2%→6.3% ※昨シーズンは”パリ五輪世代”と表記

ここ、今年のチームの大きな特徴ですよね。昨年はヴェルディユース01年産まれの山本や馬場を主力としてカウントし、その下の世代もある程度手元に抱えていたわけですが、今年は佐古や阿野といった有望株をレンタルに出し、U20の選手は西谷と今年高3の橋本陸斗のみ。即戦力だけを手元に残す、という強い意志が伝わってきます。

 

コア年齢(?)比率:42.4%→59.4%

高卒4年目or大卒2年目~30歳まで”という、活躍のピークが見込まれる年齢の比率です。なお、この定義は俺の勝手な持論です。申し訳ない。

ここの比率が大きく上がっているのも、上に同じく、戦える選手の層を増やすという意志の表れですよね。江尻GMの言う”勝負の3年目”にふさわしい選手層となっています。

 

前シーズンFP出場時間:28,127分→28,907分

昨年のこの数字、一昨年が34,975分だったことを考えると、お世辞にも高いとはいえなかったのですが、今年もほぼ同じ水準です。昨年と違い、J1やオランダからも選手を引っ張ってこれたわけですが、いずれも前所属での出場時間は限られており、J2で通年戦える選手層なのか?といわれると・・・未知の面があるのは事実です。だからこそ、千田や齋藤は本当に貴重な存在だよね。

 

前シーズンゴール数:53→37

佐藤凌我や小池純輝の引き留めに成功した昨年と比べ、今年は前シーズンの得点源を引き留めることができませんでした。今年は誰が点を取るのか?その答えを早いうちに見つけられるかどうかが、チームの運命を左右しそうですね。

 

前シーズンアシスト数:27→37

一方、アシスト数については、昨年と比べ結果を出した選手を引き留められています。梶川の8アシストはとにかく立派ですし、杉本(4アシスト)やバイロン・森田・河村(3アシスト)といった選手たちも残った。チャンスメイクに関しては一定の計算が立つスカッドといえるでしょう。

 

新加入選手(率):30.3%→34.4%

ちなみに、一昨年は40.4%でした。大卒ルーキーが5名入ってきたことも考えると、入れ替わりは決して激しかったわけではないのかも。この辺は、他のチームがどんな感じなのかも計算してみたい。町田とか今年何パーよ??

 

東京Vユース出身(率):39.4%28.1%

プロ入り前から”緑の血”が流れていた選手、だいぶ減ってきましたねえ。なお、一昨年は40.0%でした。”闘えるチーム”を追い求め続けた結果、ここの数字がどんどん減っていくのは、何やら寂しい気もしますが。ちなみに、国士舘大から帰還したルーキーMF綱島はここにカウントされていますが、GK飯田はジュニアユースまでの所属(高校は青森山田)なので、含まれておりません。

 

明治大学出身:18.2%→15.6%

江尻GMを語るうえで、外せないのはこの”明治閥”。ただし、今年は明治コネクションを活かした獲得は0でしたね。意外。

 

・・・

 

 

さて、ここからは、昨年同様、Football LAB内のデータ「CBP(チャンスビルディングポイント)」を使用して、もう少しだけ深くスカッドの比較を行いたいと思います。

CBPの詳細については、以下リンクを参照頂きたいのですが、簡単に言うと、

「攻撃(=パス+クロス+ドリブル)/シュート/ゴール/ボール奪取/守備」について、

各選手のプレー内容を数値化したものです。

チャンスビルディングポイントとは | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB

同じパスやシュート1本とっても、その状況での難易度によってポイントは上下します。

昨年及び今年の開幕時スカッドは、その前のシーズンどのようなプレーぶりだったのか、このCBPを使って確かめます。

 

ただし、今年改めて痛感したのは、この数値はチームの志向するサッカーによって大きく左右されるものだということ。当たり前ですけど。

とりわけ、この中の「パス」指標については、チームがポゼッション志向であれば、選手間の差こそあれどチーム全体として底上げされていきますし、「守備」の指標は、守備機会の多さと比例していますから、極論毎回5失点しているようなチームのCBだってこの値が上がっていくわけで、つまるところこの数字だけあげつらって選手の優劣を語ることはできません

ただし、「クロス」「ドリブル」「シュート」「ゴール」「ボール奪取」については、ある程度個人能力が透けて見える数値だと思っているので、参考にしています。

あと、サイトに載っているポイント数は、あくまでシーズン累積の数字となるため、昨シーズンに引き続き、出場時間で割ったあと×90をする形で、平均の数字を算出しています。なお、出場時間が少ない選手については、飛び抜けた数字が叩き出されることもありますので、要注意。

ちなみに、GKのCBPについては、評価項目が少ないため、今年も割愛しています。まあヴェルディに関していえば、昨年同様マテウスが心身ともに充実していれば問題ないでしょ、なんなら長沢も佐藤も大学No.1GK飯田までいるし。ってことでひとつ。

 

前置きが長くなりましたが、昨年のスカッドのCBPがこちら。

なお、攻撃P:2.00以上/クロスP:0.40以上/ドリブルP:0.40以上/シュート・ゴールP/1.00以上/奪取P:9.00以上については、とりわけ高い数字とみなしており、赤字で表記しています。

この辺も、あくまで主観ですみません。データをてめえの主観でこねくり回すな、というお叱りは甘んじて受ける覚悟。

まずは、昨年の記事の答え合わせから。

俺の文章をそのまま引用します。

2022東京ヴェルディへの期待感を可視化してみた。 - 緑がちる

個々の数字に目を向けてみましょう。

まず極端な数字が出ているのが、J2日本人得点王の小池。

シュート・ゴールポイントがずば抜けて高く、それ以外が恐ろしく低い(笑)

得点に特化したプレースタイルといえば聞こえはいいですが、それにしてもサイドのプレイヤーの攻撃Pが1.1(=パス・ドリブル・クロスでの貢献度がかなり低い)というのは、やや不安要素。守備面の貢献も薄いですし。堀さんが1トップで試したのも正直頷けるんだよなあ。

自分が3-1-4-2推す理由のひとつが、得点以外のエーコの貢献度の低さです。とりわけ得点機を多く作ることが難しい上位相手の対決において、この点が仇になると思ってます。

一方、反対のサイドを担うことが期待される新井は、対照的に攻撃Pが飛びぬけています。先述の通り出場時間の少なさが不安要素ですが、彼が通年で活躍できれば、昨年以上の破壊力すら期待できるでしょう。

そういう意味で、どちらかというと小池と似た「ゴール特化型」のウイングである山下については、彼との二者択一にせざるを得ないので、あまり高評価を提示できず、横浜FCへの移籍を決めたのかもしれません(でも山下は一定の攻撃Pと奪取Pは稼いでるんだよな…)。

ちなみに、山下の代役として期待される杉本は、ご覧の通り攻守両面でスタッツが芳しくありません。両サイドをこなせるし、頑張ってプレスをかける貴重な選手なんですけど、小池と佐藤に点を獲らせることが可能なタレントか?と言われると疑問符。正直放出すらありうると思っていた。こんなぬるい選手じゃないはずなので、慣れ親しんだこの地で完全開花を遂げてほしい。

揃えた枚数に比べて、実は不安なポジションですよねウイング。ルーキーの河村も単騎突破するタイプじゃなくてストライカー寄りの選手だし、打開力のある持井は相模原に修行に出てるし、新井への負荷やばくね?あとは頼むぞバスケスバイロン、といったところか。

ってか、佐藤凌我の奪取ポイント、CFWとは思えない稼ぎ方ですよね。しっかり前プレ頑張っていることがわかります。そのうえゴールもしっかり決めてるんだから偉いのなんの。

阪野獲ったのだって、FWだろうとまずは守備、という思想が透けて見えます。昨年は迷走する松本山雅で結果を残せませんでしたが、持ってる能力からしたら凌我の控えに甘んじるレベルではないはず。やっぱり2トップがいいんじゃない?(笑)

もうひとつ不安なのは、福村と安在が抜けたLSB。

攻撃面で違いを見せつつ、ケガで離脱した山口が1stチョイスになりそうですが、CBPで見ると、攻撃性能は間違いない一方で、守備面の弱さが目立つ。とりわけ奪取Pがあまり高くないのが不安要素なんですよね。どちらかといえば守備がもろい印象のある福村でしたが、山口はそれ以下ですから。なんなら1列前で使いたい能力してるのよね(笑)

G大阪U23では3バックの左もやってたはずなんだけど、その頃はどういうプレーぶりだったのかな。

ルーキーの加藤蓮は身体能力抜群との触れ込みですが、右利きなのですんなりとフィットするかは未知数。ベテランの奈良輪もまずはコンディションを整えるのが先決だし、なによりデュエルはさして強くない。

「縦志向」のチームにおいてこのポジションが泣き所になってくる可能性は大きいし、最悪のシナリオとして山本理仁が消去法的にまたここに入る可能性も…「福村残しておけばなあ」とならないといいのですが。

そう、山本理仁。巷では「伸び悩み」ともいわれるが、スタッツ上は既に完成された選手となっている。とりわけボール奪取のポイントは昨年チームNo.1。攻守にバランスよく関与する好タレントへと成長、よくぞ川崎に行かず残ってくれた。来年は彼がチームの心臓になると思うし、加藤弘堅と2枚中盤の底に並べて、よりソリッドな戦い方を模索してもいいかもしれない。

貢献度でいえば、昨年の梶川も図抜けていますね。攻撃面で数字を残しつつ、しっかりとボール奪取もできている。実は佐藤優平も似たようなスタッツなんだけど、彼の場合は数字に表れない独特のプレーリズムだったり、頑張りは数字に出てるんだろうけど規律を破りがちだし、なによりアンカー起用もされた中でやはり守備Pは低すぎたし、まあ放出もやむなしよなあ、と。とにかく使いどころが難しい選手でしたよね。

井出もやっぱり攻撃面の貢献は間違いなさそう。小池が得点に特化したスタイルな以上、中でボールを運び、相手を剥がすという「質的優位」を担保する選手が必ず要る。井出もしくは森田でないとこのロールはできないですからね。幸い2人とも残ってくれたので、どちらかがピッチに立っていれば、どこが相手でもまずまずいい戦いは保証されるのでは。とりわけ森田は終盤の試合で「奪取」ポイントを稼いでおり、既に目指すサッカーに適応済みであることを証明しています。

LSB以外の守備陣はおおむね問題なし。とりわけ、深澤の攻守にわたる貢献度の高さは自分の印象以上でした。いいっすね、サイズがあってボールを狩れるSB。2022年もRSBが主戦場になりそうですし、クロスやドリブルのスキルをもっと磨きたい。

若狭の放出、山越の獲得は、年齢面ももちろんあると思いますが、ボール奪取の数字を見ると納得ですね。より前への圧が高いタイプを求めたということでしょう。ボニフェイスは水戸時代と比べると攻撃への関与増加が顕著ですね。あとはセットプレーからばしばし得点を決めてほしいところ。

あとはとにかく平の復活を…いるかいないかで昇格争いに加われるかどうかが決まってしまう、そのくらいの貢献度の高さなんだ…

どうでしょうか?下記、自己採点。

・小池への不安感→当たってしまいましたね

・僕は3-1-4-2推します→大外れ(笑)

・新井の活躍度→これもまあ当たりでいいですか。”通年”いてくれたらねえ・・・

杉本竜士への不安感→土下座します。すまんかった竜士

・山口の守備面への不安感→やっぱり1列前での起用でしたね

・LSBの代役→深澤LSBのウルトラCは予想外だった。誰だ「今年も理仁LSBあるで」とか言ってたやつ。土下座します

・完成された山本理仁→結局その完成度が評価されてJ1に行ってしまったね

・梶川のずば抜けた貢献度→昨年も大黒柱でしたね

・井出の貢献も間違いなさそう→ピッチに立ってくれないと評価できないよ・・・

・森田の「奪取力」の高さ→結果的には正解寄りなんだけど、ちょっと遠回りした感はある。シーズン序盤からもうちょっと存在感あってもよかったと思っている

・若狭IN山越OUTの意義→うーん、当たりでもハズレでもないような。ただし、RSBを無難にこなしてくれた点も含め、若狭の代役としての活躍はしてくれたと思ってます

 

ってな感じで、当たりもハズレも混ざってます。まあ、データはあくまでデータなので・・・(言い訳)

さらに言ってしまえば、ことヴェルディに関していえば、俺はこのデータから全てを語っているわけではなくて、自分が実際に毎試合観たうえでのイメージを、CBPを見て補完しているに過ぎないわけですから、基本当たり率高くなきゃダメなんですよね(笑)

これがほとんど見ていない他チームをCBPだけで語る、とかなら話は別ですが。

 

ではでは、今年のスカッドのCBPはどうでしょうか?

ポジション別に見ていきましょうか。

CB

ンドカボニフェイスの引き抜きは間違いなく痛手ですが、CBPで見る限り、ルーキーながらボニと同等以上のスタッツを叩き出した谷口の残留は、物凄く大きい。

さて、その相方候補ですが、期待値高めなのはアントラーズから期限付きで加入した。昨年はわずか9分の出場だったので、2021年のデータを引っ張ってきましたが、454分という少ない時間帯とはいえ、奪取ポイントの高さは目を引きますし、さらにはドリブルポイントもついていることから、現代CBに必須の持ち上がるプレーも期待できるのでは、と見ています。心配なのはケガだけだね…

千田も(このデータからは見られませんが)空中戦はJ2では無敵という好選手ですが、この手の武闘派CBは、足元のスキルを求める我がクラブでは適応に一定の時間を要する、と思ってます。実際、秋田のチームスタイルが如実に反映された結果、パスのCBPはかなり低めだし。

あと、は相変わらずデータ上では高スタッツですよね。ただし、彼は守備面のスキルは高く、効果的なパスも通せる選手ですが、決してスピードがあるタイプではないので、城福サッカーに合うかというとやや疑問符がつくし、その点スピードのある山越のほうがチャンスはありそうだよね、とか思うわけですが、その辺の感覚は数字からは見えてこないですよね。難しい。

RSB

何といっても、注目株は新加入の宮原でしょう。J1でもまだまだ通用するであろうタレントであり、昨年はJ1の舞台でも圧倒的な奪取ポイントを稼いでいます。彼の加入によって、守備のクオリティがアップするのは間違いないでしょう。

ただ、注意点は、彼のオフェンス面での貢献度の著しい低さ。彼に関しては、2022年のみならず、2021年シーズンのCBPも併記したのですが、2シーズンともドリブル・クロス・シュートでのポイントはほぼ0です。もちろん、ハセケンの戦術的に、SBは絞って守備する機会が増えており、攻撃参加の回数が限られていた面を考慮する必要がありますが、さてヴェルディではどうなるか。何なら3バックのストッパーのほうがいいのでは?とすら思えてくる。この点は彼とポジションを争う深澤にも同じことが言えますね。似たタイプの2人なので、チーム戦術を考えるうえで計算はしやすいかもしれませんが。

LSB

さて、逆サイドのRSBが守備的なキャラクターであることをふまえると、こちらにはよりオフェンシブなタイプを置きたいところ。その点、昨年ルーキーながら堂々たるプレイを披露した加藤蓮が1stチョイスになるのは間違いないかと。彼の大きな特徴はシュートポイントの高さ。セットプレーのみならず、流れの中でもゴール前に顔を出せる嗅覚の持ち主なのは面白い。あとはクロスやドリブルでの仕掛けをさらに増やしてほしいですかね。昨年復活を遂げた奈良輪に関しても、同じくクロスでのチャンスメイクを期待したいところ。あと、彼やアルハンに関しては、ボールを奪いきる力ももっと求めたいですね。

CMF

10番を背負うテクニシャンであり、城福スタイルにもバッチリ適応済の森田が軸となるのは間違いない。じゃあその相方は誰?というと話になるのですが。

まず、馬場の引き抜きはやっぱり痛いですよね。難度の高い縦パスを通す場面も多々あり、昨シーズンは「パス」のCBPがチーム1位だった選手です。もちろん奪取の値も高く、彼が残っていれば森田&馬場で中盤の底は安泰とまで言えたのですが、いなくなってしまったものは仕方がない。

面白い変化を見せているのが、ベテランの加藤弘堅。一昨シーズンと比べ、「シュート」や「ドリブル」のCBPが増えています。とりわけシュートの増え方ヤバイ。本人のTwitterにもあった通り、城福監督からBox to Boxの動きを求められたがゆえんなのでしょうが、それをちゃんと実行できるのが彼の凄みですよね。森田の相方にもなれるし、代役にもなれそう。

新加入の齋藤は、170cmというサイズ面から考えても、森田の相棒というよりは、ライバルとなる存在かなあ、と。上でもちょっと書きましたが、彼の特徴はシュート・ゴールのポイントの高さだと思っていて、2~2.5列目での起用の方がより真価を発揮しそうなのですが、奪取の値も昨年はかなり高く、3列目での起用もぜんぜんいけそう。ただ、森田とのドイスボランチはリスクありすぎる(笑)

さて、奪取ポイントで高い数値を残していたのが、ルーキー組の稲見西谷。共に出場時間は500分前後しかないですし、稲見はRSB、そして西谷は手薄なポジションを色々と任せられていたため、あくまで参考記録でしかないですが、ことプレー強度という点においては、意外とすんなりプロの世界に馴染めた印象。あとは攻撃面での関与をどれだけ上げられるかで、今年のルーキー綱島との序列争いは決まってくるでしょう。

RSH/LSH

まず、絶対的な軸となるのが梶川バスケスバイロンの2人でしょう。前者は残留した面々の中で「パス」の値が1位であり、後者は「ドリブル」が1位(一応さらに上に橋本がいるのですが、出場時間が極端に短いので除いてます)。「カジが本当に4-4-2のサイドハーフが適任なのか問題」は燻っているものの、今年もチャンスメイクは彼に頼ることになるでしょう。繰り返しになりますが、同じような役割を期待して、齋藤をサイドハーフで起用するのも、俺はアリだと思ってます。

CBP見るとよくわかりますが、バスケスバイロンのスタッツは文句なしですね。ドリブルに加えクロスのポイントも高く、極めつきはシュートポイントが突出している点。決定力を表すゴールのポイントだって悪くない。フィニッシュまで完結できるドリブラーは本当に貴重です。

ただ、昨年試合に多く出ていたメンバーの中で、ドリブラータイプがバスケス杉本しか残っていない点は、少し不安。

そういや、俺は一昨年の数字を見て杉本を酷評してました(同い年の愛ゆえだよ!)が、昨年はクロスとドリブルの値にかなりの改善が見られました。ただ、元来シュートは積極的に放つけど、そこまで決定力が高いタイプではなく、昨年のゴールポイントはやや上振れ気味にも見えます。それこそ、18歳の橋本が急激な成長を見せたら、杉本とのポジション争いなんて展開も全然あり得ると思ってますし、大卒ルーキーの持つスピードにも期待大。あと、CFの新戦力にめどが立てば、河村もサイド起用が主になるかもしれないね。

ダークホースは、アビスパから期限付きで加入した北島でしょうか。もともとドリブルを得意とする選手であり、昨年のJ1でのCBPでも(300分のみですからあくまで参考記録ですが)高い奪取ポイントを記録するなど、城福監督好みのプレイヤーの可能性は高いです。しかもプレースキックも強みらしいとなると、本当に楽しみな存在。

CF

一番どうなるか読めないポジション。だって、昨年試合に出てたの、河村だけなんだもん。

河村に関しては、仮にFWとして使われるのであれば、やはりもっとシュートが欲しい。チームへの献身性と熱いハートは誰の目にも明らかですし、決して巧さはなくとも馬力のあるドリブルで相手守備陣をぶち抜ける選手なので、より点を奪うための気迫溢れるプレーが見たいところです。

昨季の合計出場時間はわずか185分とはいえ、その中で3ゴールと鮮烈な印象を残したのは、ベテランFWの阪野。実際、プレー時間が短く、かつPKを蹴ったことによるかなりの上振れを考慮しても、シュート・ゴールともに高いCBPが出ています。アキレス腱の断裂を乗り越え、彼がいよいよトップフォームを取り戻した、となれば、FWの軸は定まるかもしれません。

それと、忘れちゃいけないのが、一昨年のJ2日本人得点王、小池純輝。昨年の記事で書いた通り、もともと彼のプレースタイルは得点以外の貢献が極端に低いプレースタイルではありますが、昨年はそれに加えゴールポイントも大幅に下がっており、決定機を決めきれなかったこともわかります。とはいえ、シュートポイント自体はかなり稼げており、嗅覚は衰えていないことが伺えますね。現実的に考えて、4-4-2のSHでの起用はかなり厳しいことが予想されるので、今年は2トップの一角での起用かな、と思ってます。はたまた4-2-3-1のサイド?

ってか、見てて気づいたけど、昨年J3の相模原に武者修行に出ていた松橋、攻撃ポイントが少なくて、シュート・ゴールポイントが高いの、師匠のエーコにそっくりですね(笑)

もちろん、新加入のマリオエンゲルスについては、別記事を書いたように、前線の核となりうる存在だと思ってますし、大卒ルーキーの山田佐川のポテンシャルにも期待大なわけですが、今回はあくまでFootball Labから見るスカッドの話なので、データのない彼らの話は割愛せざるをえません。ほんと、昨年と対照的に「誰が点を取るか」については、未知数な部分が多すぎるよね…(笑)

例えばここにJでの実績も豊富な助っ人がいれば、いや、そこまで贅沢は言わなくても、せめてJ2をよく知るブラジリアンFWがもう1人くらい来てくれれば・・・

 

 

 

あれ・・・そういやそんな男が・・・

 

 

 

 

すぐ半裸になって己の肉体美を誇示しがちなガチムチアタッカー、
ジャイルトンパライバ

 

 

【おまけ】

ヴェルディのデータを見てるだけじゃダメだ、ということで、昨年のJ2の1~6位のチームについても、個人CBPを引っ張ったうえで、あれこれ眺めてみた。上位進出に大きく貢献した選手や個人昇格していった選手なんかは、やはりデータで見てもかなりの数値を叩き出している選手ばかりなのだけど、じゃあどんな選手をどう揃えたら勝てるのか、っていう大事な点については…。結論、やっぱわからん。誰か詳しい人、色々教えてほしい

アルビレックス新潟。優勝おめでとう

横浜FC

ファジアーノ岡山

ロアッソ熊本

大分トリニータ

モンテディオ山形


では。