6/12(日)14:29。
バケツをひっくり返したような通り雨は嘘のように過ぎ去り、俺は大和駅で小田急線の急行に飛び乗って、味の素スタジアムへ向かっていた。
今日はJ2第21節 東京ヴェルディvsいわてグルージャ盛岡が18時から開催される。
この試合は、我々サポーターにとって特別な試合。
いつもと違うというべきか、いつもが戻ってきたというべきか、
この日はJリーグが定める「声出し応援検証試合」に選ばれたということで、
2年とちょっとぶりに、スタジアムでチャントを歌うことが許された日になった。
いや、ほんとは今日スタジアム行く予定はなかったんです。
最近土日はいろいろ立て込んでたこともあったので、久しぶりに家でゆっくりしたかったし、
感染リスクはおそらく低いと思うけど、とはいえこのような「実験」にサッカーへの興味があまりない妻を巻き込むのも抵抗があったし、
チャントはそりゃ歌いたいけど、まあ次また機会が来たらでいいかなぁ、とか思ってた。
だけど、ヴェルディから海外に羽ばたき奮闘中の藤本寛也が当日来場とのニュースを見て、心がぐらり。2020年のレプユニは彼にしてたくらい推してたんでね。
あと、前日に開催された鹿島vs福岡の応援動画を見て、それはもうグッときてしまって、これは多少無理してでも行かねばならぬ、と完落ち。
この瞬間を待ち焦がれていました。2年半ぶりのチームコール!#antlers #kashima #鹿島アントラーズ
— 鹿島アントラーズ (@atlrs_official) 2022年6月11日
声出し応援エリア以外の方は、手拍子やタオマフでの後押しをよろしくお願いいたします!
声出し応援運営検証試合 観戦ルールはこちら:https://t.co/RYpZxb97yl pic.twitter.com/CDHuBrqJEh
サポーターなんてのはほんとにチョロいものですね。
急遽前日にチケットを購入し、ぼっちでの参戦を決めた。
ちなみに、他チームのサポーターはどうだか知らないが、我らが東京ヴェルディは19年のJリーグ公式調査で「ひとりでの観戦率がJ1/J2全クラブでぶっちぎり1位」をマークしたという、日本有数の陰キャ集団として名高い存在であり、ぼっち参戦でも全く問題ない。俺のような人間には非常に居心地の良い場所である。
さて、兎にも角にも久しぶりの声出しである。
これまた他チームはどうだか知らないが、東京ヴェルディは所属するすべての選手に個人チャントを用意している。
コロナ禍で声出し応援禁止となった去年も今年もしっかり作ってるあたりは、手前味噌ではあるが素晴らしいことだと思う。これにはニウドもにっこり。
問題はこの2年間で知らないチャントがあまりにも増えてしまったこと。
真面目なサポーターの皆様はおそらく予習バッチリで来場したことだろうが、こちとら急遽前日に参戦を決めた身。
一応電車内でYouTubeを開き予習を始めたのだが、いかんせん俺は「チャントはスタジアムで自然に覚えるもの」と思ってるので、どうにもこの作業に身が入らず。
とりあえずユニ着てるのに歌えないのも恥ずかしいと思い、谷口のチャントだけ頭に叩き込み、あとはずっとPK shampooを聴いてた。
そういや、彼らの「3D/Biela」という曲の一節に「何があったって構わない 君と生きていくよ たとえ奇跡なんて一つも起こらなくても」とあり、ああこれは我々ヴェルディサポーターの身に沁みるなぁとか思いながら飛田給駅で下車したが、
続くフレーズが「縺れ込む歩幅 アルペジオ 準急で神戸まで」だったので、たぶんこれは神戸サポーターの曲なのだろう。
15:50、味の素スタジアムへ到着。
早速、今日のお目当ての一つであったスタグル、相手チームのいわてグルージャ盛岡に所属する中野雅臣選手(ヴェルディ出身です)のお兄様が手掛ける”mahana”のカレーを調達。
なお、声出し応援エリアでは飲食ができないため、要注意。俺は入場前に食べ終えてしまいました。不便ではあるけど、仕方ないね。
さて、お腹をしっかり満たしたところで、いよいよ入場。
グッズ売場は今日発売の不織布マスクとペンライトを求めるサポーターたちでごった返していた。
帰国中の藤本寛也のサイン会も開かれていました。
そして、いよいよ。
コンコースの賑わいが一段落し、ゴール裏の座席を埋めるサポーターが徐々に増えてきたキックオフ1時間前。
コールリーダー?の方がトラメガをとり、サポーターに呼びかける。
「ここらで一発、東京ヴェルディコールいきませんか」
東京ヴェルディコール。遂に。遂に。 pic.twitter.com/cGeDOjh6OL
— 緑がちる (@MidorigaChill) 2022年6月12日
デケえ。
魂が震えた。
2年間の思いを乗せた叫び。
これが、この場所で喉を枯らすことが、サポーターの性なのだ、と、強く主張する声がスタジアムに響く。
エンターテイナーも載せときます。 pic.twitter.com/yOlmV44nrL
— 緑がちる (@MidorigaChill) 2022年6月12日
その後、選手登場の前に、藤本寛也がゴール裏のサポーターの前に来て、ミニトークショー。
終了後には、ゴール裏サポーターから彼へのチャントが贈られる。
2020年のお別れの際には歌えなかったぶん、一層熱のこもったチャントが味スタに響き渡る。
まもなくGKの長沢とマテウスが姿を現し、ついでフィールドプレーヤー全員がピッチに揃った。
サポーターはそれぞれの選手のチャントを歌い、彼らを鼓舞する。
申し訳ないが、最初の一発だけ動画を撮る側に回らさせてもらった僕も、周りに負けじと声を張り上げる。
ただ、情けないことにやっぱり初めて歌うチャントはどうにも自信がなく、「フンフンフンフ・・・虎になれ」などと、歌詞がわかる箇所だけ声が大きくなったりしていた。
しかし、試合が始まる前に既に感じてしまったのだが、
想像していた以上に、マスクをしての応援はしんどいものがある。
まず、当たり前のことだが、マスクが鼻と口に張り付き、非常に呼吸がしづらい。油断しているとすぐ酸欠状態が迫り来る。
昨日のほっさんのオラジオのアドバイス通りこれ買ってきて良かった。歌ってるとズレるけど、口と鼻にくっつきまくるよりはかなりマシ。 pic.twitter.com/bO4B0XYiK5
— Yuta Kim (@Caesar17_yk) 2022年6月12日
対策するグッズもあるようなので、今後行かれる方はご参考までに。
ただ、どんなに対策しても、マスク着用で90分飛んだり跳ねたりしながら歌い続けるの、たぶん常人には無理だよ。死ぬよ。
だからといって、「マスク外させろ」とまで飛躍した主張をする気は俺にはなく。
今後各地で追加の検証試合が実施されると思うのだが、ひとつ俺から言えるとしたら、今後この形式が続く限りは、地蔵とか言われるの気にせず、マジで休む時は休んだ方がいいと思う。熱いサポーター魂は大いに尊重しますが、無理が祟って救急車・・・なんてことになったら元も子もありません。チームの行方をしっかり最後まで見届けるのが、サポーターの務めなのですから。この先さらに気温が上がるだろうし、本当に無理は禁物ね。
あと、こんなに長時間大声を出すのが久しぶり過ぎて、喉のスタミナ不足がとにかく深刻であった。
当日ぶっつけ本番はダメゼッタイ。声出ません!カラオケで練習した方がいいよ、勿論マイク無し、立った状態で。声出なくてびっくりするから。腹式呼吸を心掛けないとすぐ喉がやられるから気をつけて。
— たぐさん (@vfconn) 2022年6月12日
#声出し申し送り事項
前半始まってすぐぐらいに、「あ、これ高音が全く出ないな」と気づき、キーが高めのチャントは無理やりミックスボイスを交えて歌ったりしていた。カラオケか。
たぐさんのツイートを引用しましたが、喉のウォーミングアップができるならしておいたほうがいいっすね。
そういや、はやるサポーターの気持ちの表れか、手拍子が終始太鼓のリズムに対して走り気味だったのも、応援お久しぶり感があって面白かった。
「カモンヴェルディ」なんかはかなり前ノリのリズムだったはずだけど、今日はかっちりしたリズムだった。太鼓隊の方々も入れ替わりがあったんですかね。
試合中はずっと応援に集中していたので、写真も動画もありません。
肝心の試合内容については・・・まあね(笑)
ヴェルディゴール裏のブーイング。 pic.twitter.com/EtzTUzeWhb
— kashiwaman (@kashiwasia) 2022年6月12日
前半にラッキーな形で先制。後半にも見事なカウンターから最後はDF深澤の右足一閃、と理想的な試合展開だったが、
終盤の86分、89分と立て続けに失点を許し、ドロー決着。
試合後には図らずもブーイングまで解禁されてしまったわけで・・・(笑)
別にシーチケホルダーでもなく、チャントも予習してこないようなダメサポーターが言うのもなんだけど、
今回みたいに声で選手を後押しできるようになったからって「応援がチームを勝たせる」みたいな甘い考えは、俺は正直持ってない。
そんな魔法のような効果はないってことくらい、20年近くサポーターやってりゃよくわかってる。
じゃあ、応援は無意味ですか、単なる自己満足ですか、って、そんな単純な話でもない。
たしかに、声援が生む「非日常感」が、エンターテイメントとして不可欠な要素だ、という事実はあるけれど。
ただ、今回言いたいのはそこじゃなくて、やはり声援というのは、より切に、より真に迫る形で、選手たちに俺たちの思いを伝える手段なのだと思ってる。
手拍子だけの形より、ずっとずっと俺たちの「勝ってくれよ、頼むから勝ってくれよ」という願いを伝える効果があると、まあ当たり前の話なんすけど、改めて今日それを思っている。
チームがうまくいってなければ、どんなに声を張り上げて選手を鼓舞したって、そりゃ今日みたいな試合も生まれる。
それでも、今日声援がなかったら、またさらに違った結果があっただろうと、そして今日の声援があったことで、また違った未来が生まれたのだろうと、俺は勝手に思っている。
ヴェルディの応援の魅力と迫力を肌で感じ本当に嬉しかった。
— 加藤弘堅/KokenKato (@koken0403) 2022年6月12日
同時にブーイングを耳にして
これだけ本気になってくれているんだなとも感じました。
1日でも早く声が帰ってくる日を願いつつ
その時はブーイングではなく、ラインダンスができるように努力していきます。
本当にありがとうございました。 https://t.co/DsDoq2P7SK
最後に。
不甲斐ない試合でした。ブーイングという形で怒りを露わにする人も、さっさと席を立ち家路につく人も、それでも拍手で選手の労をねぎらう人も、いろいろな人がいましたが、
それでも今回リーグ側が設けたルールを逸脱するような行為は、少なくとも自分の周りでは見かけなかった。
そこは胸を張っていいと思います。
検証結果はまたおいおい出てくるでしょうが、少なくとも他のクラブにバトンを渡す役割はできたのではないでしょうか。
それでは、今日はこれくらいにして、U21代表の試合結果を見届けたら寝ます。
皆さん、お疲れ様でした。
体調にはくれぐれも気を付けてね。