緑がちる

緑はいつか散ります。でもまた実るものです。東京ヴェルディ&FM日記

5474日と、14日。(東京ヴェルディJ1復帰に寄せて)

「今はこんなに落ちぶれちゃったけどさ、でも、いつかヴェルディが再び輝かしい大舞台に立つ日には、満員のスタジアムにはたぶんこういう曲が大音量で流れてて」

 

あれは2014年の秋だったと思う。

対戦相手はどこかも忘れてしまったが、冷たい風が吹きすさぶ中、不振に喘ぐヴェルディのとてつもなく退屈な試合をガラガラの味スタで見届けたあと、帰り道YouTubeで見つけた曲を聴きながら、朧気にそんな夢を見た大学時代を、ふと思い出す。

 

その曲は、00年代のパンクやエモを愛した人間なら誰もが一度は通ったであろう、

偉大なバンドFall Out Boyの“Centuries”だった。

有線イヤホンを通して、これぞスタジアムロックというスケール感に満ちたサウンドに浸りながら、俺はまた妄想に耽る。

「そして、緑の服着た大勢のサポーターが、喉を枯らしてピッチに声援送っててさ…
俺らのチャントって、満員のゴール裏で歌ったら、めちゃくちゃ格好いいはずなんだよな」

 

俺が愛する東京ヴェルディというクラブは、かつて「名門」と謳われて、でも俺が応援し始めた2000年代前半には、もう落ちぶれ始めていて、そして、自分のお金でたくさんスタジアムに通えるようになった頃には、ホーム味の素スタジアムの膨大なキャパを持て余し続ける、不人気クラブになっていた。それでも、このクラブを好きだという思いは変わらなかったから、試合はずっと見続けていたけど。

だから、満員に膨れ上がるスタジアムでのヴェルディの試合なんて、当時の俺にとっては本当に妄想の世界、夢物語だった。

 

・・・

 

そんな妄想にあまりにもそっくりな景色が、あれから丸9年経った俺を迎えていた。

2023年12月2日。場所は東京都新宿区、新国立競技場

まだキックオフの2時間前なのにもかかわらず、最寄りのJR千駄ヶ谷駅から、途切れることなくスタジアムに吸い込まれていくたくさんの人々。

王国の誇りを胸にオレンジを身に纏うサポーターや、中立と思しきサッカーファンの人間もたくさんいたが、それ以上に多かったのが、緑色の服を着た老若男女の数々。その光景を見ただけで、嬉しくてなんだか叫びたくなる。彼ら一人一人と「来てくれてありがとうね」「今日は絶対勝ちましょうね」とハイタッチしたい気持ちを抑えながら、俺たち夫婦二人も入場ゲートへ向かう。

途切れることがない人波。最終的に入場者数は53,264名に膨れ上がった

運命の日、スターティングメンバーに選ばれたのは、彼ら11人。
左から、GKマテウス、DF宮原、林、谷口、深澤、
MF中原、森田、稲見、齋藤、FW染野、山田。

2023年J1昇格プレーオフ決勝、東京ヴェルディvs清水エスパルス

激闘の末に彼らを、そして俺たちを待つのは、天国、もしくは地獄。

一歩場内に足を踏み入れれば、「俺達はヴェルディ」「15年分の悔しさをぶつけろ」の横断幕。シンプルながら切実な思いが詰まったメッセージに、気持ちがますます昂る。

決起集会が始まる直前、予備の飲み物を買い忘れたことに気づいた俺は「ちょっと待ってて、外の自販機で買ってくるから」と妻に告げ、ダッシュでスタジアムを出た(再入場可能な新国立って、こういう時ありがたいよな)。

こんな空間であの曲だけでもどうしても聴きたくて、人波を縫うように走りながら、ワイヤレスイヤホンをつけた。

Some legends are told
伝説は語り継がれるけどさ
Some turn to dust or to gold
消えてしまうヤツと輝き続けるモノがある
But you will remember me
でもお前は俺を忘れないだろうな
Remember me for centuries
何世紀経っても忘れないはずさ
And just one mistake
たった少しの過ちが
Is all it will take
命取りになるのさ
We'll go down in history
俺達は歴史に名を刻むんだ
Remember me for centuries 
何世紀にもわたってな
Remember me for centuries 
何世紀にもわたって刻むのさ

 

この舞台にふさわしい歌詞に武者震いしながら、両方のポケットに自販機で買った緑茶のペットボトルを突っ込み、またダッシュでスタジアムに戻った。運命のキックオフまで、あとおよそ1時間。

そして、俺がロックンロールから得た高揚感は、決起集会でさらに加速する。

今までのヴェルディゴール裏では経験したことのなかった、興奮と緊張が渦巻く異様な空気。誰が煽るでもなく自然と巻き起こる拍手。そして、突如耳をつんざく太鼓の音と、それに合わせ歌い飛び跳ねる緑の群衆。5474日の思いを乗せた叫びが、新国立の狭いコンコースにこだまする

その様子を眺めながら、コールリーダーが頷いて、そしてこう語る。

この15年間、一度クラブはなくなりそうになりました
そこから俺ら、ここまで這い上がって、ここまで這い上がって、
15年間、J2で、苦しい思いして、悲しい思いして、辛い思いして、
俺らここまで這い上がってきたっていうこの“気持ち”が、
今日一番のアドバンテージです

やめてくれよ。試合前にもかかわらず、そんなに泣かせないでくれよ。

この惨めな15年間で、すっかり斜に構えて悲観的になるのが当たり前とさえ思っていた、そんな俺の卑屈な感情を、「アドバンテージ」なんていう、とんでもなく熱い言葉でひっくり返さないでくれよ。最高じゃねえか。

・・・俺の脳裏に、またあの曲の一節がよぎる。

Mummified my teenage dreams
10代の頃の夢なんて干からびちまった
No, it's nothing wrong with me
でも俺は間違っちゃいなかったんだよ
・・・

 

熱い決起集会を終えて、俺は「肩組ませてもらってありがとうございました」と、隣にいたパパとその小さな娘さんにお礼を言って、ついでに小さくグータッチをして、そのあと少し涙で滲んだ眼を、ごしごしとタオルマフラーで拭った。「まだ泣くのには早いよ」と、隣の妻に茶化されそうだったから。

(タオルマフラーにまつわるお話はこちら)

 

そこからキックオフまでの約1時間、正直記憶は薄い。写真もほとんど撮ってない。

透き通る青空の下、燃えるように映えるグリーンとオレンジの大観衆。その華やかな場に当事者としていられる幸せをかみしめる余裕は、正直なかった。

こういう舞台を傍観者として見るのが一番楽しいのかもしれないなあ」なんて、そんな後ろ向きな感情が、また頭をもたげてきたりしていた。

認めなくちゃいけない。せっかくあれだけ決起集会でテンションを上げたのに、そんな弱気な感情がまた顔を覗かせるくらい、マジでエスパルスのゴール裏の声量は脅威だった。王国の名は伊達ではなかった。

だけど、12月とは思えない暖かな日差しにきらきらと照らされながら、いつもの場内BGMとともにウォームアップに出てきたヴェルディの選手たちを見て、さっき入場時に見た弾幕の言葉が蘇る。

そうだ、俺たちはヴェルディ。そしてここは東京だ。誰になんと言われようと、ここは俺たちのホームで、今日は、俺たちが、主役だ。

 

だから、ただ、ひたすら跳ねて、大声で歌った。主人公に相応しい雰囲気を作るために、そして感動のフィナーレを迎えるために。

 

前半の45分は、淡々と過ぎていった。あっという間だった。そんな気がした。

ありったけの想いを込めて、声を枯らすスタンドの雰囲気とは対照的に、ピッチ上の時間はぬるっと過ぎていったように感じた。

ハーフタイム、既にボロボロの喉を緑茶で潤しながら、「このまま何となくあと45分が過ぎて、気づいたら昇格の瞬間を迎えてたりしてないかなあ」なんて、ちょっと楽観的な気分になったりしていた。

 

だが、そんな甘い期待は、やはり裏切られることになる。

 

後半15分。ペナルティエリアの奥に出された浮き球のパスに、森田と中山が反応する。ゴール裏144ブロックに陣取る俺たちの目に、森田のハンドははっきり見えていた。一拍遅れて、笛が鳴る。

昨年のJ1トップスコアラー、チアゴサンタナが落ち着いてPKを沈め、静かにセレブレーションをする。懸命にマテウスのチャントを叫んだ緑のゴール裏が一瞬静まり返り、反対側でエスパルスサポーターの歓喜が爆発する

そんな中、もともと色白の森田の顔がさらに青ざめる様が、だだっ広い新国立のトラック越しにも分かった。

東京ヴェルディ0‐1清水エスパルス

決して得点力に優れたチームとはいえないヴェルディにとって、このビハインドはあまりにも重い

 

城福監督が矢継ぎ早に交代のカードを切る。でも、局面はそうガラッとは変わらない。

エスパルスベンチも対抗して動く。途中出場なのが不思議なくらいの豪華なタレントが投入される。

 

そして、時間が過ぎていく。

国立競技場の大きな屋根に遮られて、一度は顔を隠した西陽が、3階席と屋根の隙間から再びスタンドに降り注いだ。

それはオレンジに染まった勝利の瞬間が訪れることを告げているようにも思えたし、落胆の瞬間を迎えようとする俺たちを憐れむ、一筋の涙のようにも見えた。

 

ヴェルディにも決定機はいくつかあった。でも、宮原のミドルシュートはGK大久保がキャッチし、染野の振り向きざまのボレーも、DF高橋が体を張った決死の守備で凌ぐ。

電光掲示板から、試合時間を示す表示が消える。90分が経過し、残すはアディショナルタイムのみ。1点取れさえすれば、追いつけさえすれば、悲願のJ1に手が届くのに。残された時間は、あまりにも短い。

91分、コーナーキックのこぼれ球に反応した森田が、右足を振り抜く。ボールは無情にもゴール左に逸れていく。この時察した、ああ今日はそういう日だったんだ。サッカーの神様は、これでもまだ、俺たちを認めてくれないんだ、と。何もかもを受け入れる準備はできていた。その行為は、この5474日で、慣れていた

 

物語の残りページが少なくなるほどに、清水エスパルスのゴール裏が一層盛り上がりを増す。彼らはフラッグをこれでもかとはためかせ、勝利の凱歌を歌っていた(ように俺には思えた)。絶望の淵に立ち、でもその時、俺は少しだけニヤッとできた。それは盛大なフラグになるぜ。今年のヴェルディは、こう見えても諦めが悪いんだ・・・

 

そして、あの笛を聞いた。


信じていた。でもやっぱり、信じられなかった。ペナルティスポットを指差す主審の姿は、既に涙でぼやけて見えた。

 

・・・

 

東京ヴェルディ1-1清水エスパルス

 

試合終了のホイッスルを聞いた瞬間。

妻に抱きついてボロ泣きしながら、「よかった、よかった」って、俺はそれしか言えなかった。

喜びに浸るわけでもなく、これまでの思い出が走馬灯のように駆け巡ることもなく、ただただ、今目の前にいる彼ら緑の戦士たちが、そして一緒に声を枯らして歌った俺たちが、今日の皆の想いが報われたことに心から安堵して、ひたすら涙を流していた。

 

「なにか一つ重い重いバトンを受け渡したような」

「追いかけられ続けた恐怖からやっと解き放たれたような」

「生き別れの肉親と、長い時を経て再会したような」

14日経った今でも、その時の感情をうまく形容するのが難しい。

 

でも、間違いなく言えるのは、それは単なる喜びではなかった。少なくとも、普通に生きてきて得られる類の、ありきたりな感情ではなかった。だからこそ、自分の中のありとあらゆる壁が決壊して、涙が止まらなかった。

 

 

試合終了後に鳴り響いたVictoryには、格別の意味があった。皆で泣きながら歌った「俺のヴェルディ」には、タオマフやフラッグを掲げながら歌った「Go West」には、格別の意味があった。だって、何千日何万日経とうと、俺たちはスタジアムに集い、同じ歌を歌い、そしてそれに共鳴する。特異で、奇妙で、美しい世界だ、そうは思わないか。その感動こそが、フットボールクラブが存在する意義なんじゃないか。

クラブへの思い入れは、人それぞれ差があるとは思うけど、あのときスタジアムにいた人間、そして映像を見ていた人間が流した涙は、等しく美しかったと思う。

義成、お前は痩せろ

(清水に先制を許した瞬間、「絶望」という2文字が書かれていたかのような森田の後ろ姿に、失意のままチームを去ったかつての祐希が重なって見えてしまったのは、ここだけの秘密だ)

(ちなみに、俺の推しのヴェルディヴィーナス、この人・・・)

これ笑った。全力さんらしいエピソード

 

そういや、今年のシーズン頭、はるか昔の話のように思えてしまうけど、「大旗で試合が見えない問題」で、ちょっとだけサポ界隈がざわついた。俺はコアサポ層の動向を詳しくは知らない人間だけど、ちょうど中心部の世代交代があったタイミングだから、本来なら大した問題じゃなかったはずなのに、ちょっと過敏な反応が出た面はあると思う。かくいう俺も、何やら偉そうに物申したことを覚えている。あの時若手サポからのヤンチャ感溢れる発信に、FOBを聴いていた9年前の俺なら共鳴しただろうけど、くたびれたアラサーになった俺は少し否定的だった。

結果的に、彼らの努力のおかげで、夢に見ていた「満員のスタジアム、熱くてかっこいいゴール裏」が現実のものとなった。本当にごめんなさい。そして、感謝しています。毎試合、最高の雰囲気作りを、ありがとうございました。あなたたちは間違いなく今シーズンのMVPです。

 

そして、それまでのゴール裏を繋いできた方々にも、心からの感謝を。「自己犠牲の精神」なんて安易なワードじゃ形容できないくらいの、血の滲むようなサポートがあったことを、俺は全ては知らないとはいえ、よく分かっているつもりです。

昇格の煽りPVで、Funny Bunnyの「君の夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ」って歌詞に、チャントの歌詞カードを配るヴェルディサポの姿がオーバーラップされていて、俺はそこだけでウルっと来たもんな。

 

 

そして、このクラブを支え続けてきた、全てのヴェルディサポーター。

苦しかったよね。辛かったよね。でも、なんだかんだ楽しいこともたくさんあったから、ヴェルディが人生に彩りをもたらしてくれたから、サポーターであり続けたんだと思います。少なくとも、俺はそうです。後悔なんて、別にないよ

さっきエスパルスサポーターの迫力に触れたけど、あの日の俺たちの声援だって、たまらなくかっこよかった。「一緒に闘っている」は口先だけじゃなかったと思う。だから、最後の最後、ドラマが待っていた。いや、呼び込むことができた。

彼らも、俺たちもまた、何世紀にもわたって名前を残すだろうぜ。そうだろ?

We've been here forever
俺達は永遠にここから離れない 
And here's the frozen proof
生きてきた証を残すためにさ
I could scream forever
俺の叫びが止むことはないんだ
We are the poisoned youth
”俺たちは毒されたガキ”だってな

We'll go down in history
俺達は歴史に名を刻むんだ
Remember me for centuries
何世紀にもわたってな

敬愛するiva.氏の和訳ver. で聴いてほしい、Fall Out Boyの”Centuries”。文中で引用したフレーズも、彼の和訳を基にしています

 

・・・

 

長々とスミマセン。もう少しだけ続きます。

 

試合後、アウェイ水戸戦やホーム最終戦を共にした大学の同窓生と、新宿近くで少しだけ飲んだ。「少しだけ」だったのは、妻が先に家に帰って待っていたからである。

(後に、我が母親から「勝利の女神の●●ちゃん(妻)を一人で帰らせて、飲みに行くなんていったいどういう了見なのよ!親の顔が見てみたいわ!!」と怒られた。鏡をよく見ておいてくれ。あと妻には確かに本当に申し訳ない)

お互いサポーター歴20年、あれやこれやの思い出を全て語るには、2時間弱という時間は短かったかもしれないが、今日起きたことを振り返り、喜びに浸るには十分な時間だったと思う。なにより、たまらなくビールが美味しく思えた。また来年以降も、よろしくお願いします。

帰りがけ、JR新宿駅の改札のちょっと手前で「ヴェルディ昇格」の号外をもらえた。やけにスリムになったヴェルディ君もうろうろしてたから、グータッチもしてきた。知らずに通りかかってたまたまもらえたけど、あとで公式の発信を見たら、号外はこの場所でしか配っていなかったんだね。長年サポーターを続けてきた我々にもたらされた、ちょっとしたご褒美だったかもしれない。

 

家に帰って、もう一回妻の顔を見てまたおいおいと泣き(彼女は流石にちょっと引き始めていた)、そして一夜明けても興奮はまったく収まらなくて、友人P氏(以前徒歩遠征にお供してくれた)と行った翌日日曜のハマスタレジェンドマッチも、ふわふわした気持ちで観戦していた。

ほんとはその後すぐにでもブログを書きたかったんだけど、とめどなく溢れる思いをまとめる暇がなかった。翌々日の月曜からインドネシアに出張していたのである。

2018年、悪夢のジュビロ磐田戦当日、俺はやはりインドネシアにいた。負けたこと以上に、その場に立ち会えなかった悔しさに歯噛みしたのを覚えている。だから、今回ギリギリ出張の日程がPO決勝に被らなかったのも、号外と同じく、サッカーの神様からのご褒美だったのかも、と勝手に思っている。

インドネシアはサッカー熱の凄まじい国だが、その中でもサッカーに詳しいローカルスタッフの方がいるので、俺は彼に興奮しながらヴェルディ昇格の報をまくしたてた。彼はアルハン繋がりで既にヴェルディの昇格を知っていて、一緒に喜んでくれた。

「オールザベストヴェルディ」「ビーザナンバーワンアゲイン」「トーキョーイズグリーン」などと景気の良いお祝いの言葉に混じって「アルハーンノーイナッフゲーム」「ベストプレイヤーナガトーモ」など、ところどころ不穏なワードも聞こえてきた気がしたが、まあいいや。アルハン、ほんとに韓国行っちゃうのかね。

 

あの日から14日が経った。辛いニュースにも触れておかなければいけない。

 

奈良輪雄太がスパイクを脱いだ

結果として、東京ヴェルディが彼にとって一番長く在籍したクラブになった。

城福監督が口を酸っぱくして言い続けた「靴半歩分の寄せ」を体現するような、最後まで一切手を抜かない選手だった。ありがとう、奈良輪さん。

16年ぶりJ1昇格の東京Vで現役引退の奈良輪雄太、「本当に幸せなサッカー人生だった…」 - 超ワールドサッカー!

 

そして、2人の偉大な功労者が、チームを去ることになった

選手はチームを選べるが、サポはチームを選べない」という慣用句が、こんな残酷な形で否定されようとは思わなかったし、二人が語るヴェルディへの深い深い想いを聞くと、俺たちが誇りに思うヴェルディというクラブの価値が、これほど悲しい形で肯定されたこともないよな、とやるせなく思ってしまう。

彼らとの別れについては、改めて記事を書きたいな、って思ってる。書きたいことが多すぎる。

 

でも、J1に行くのなら、城福監督の言う「決してエレベータークラブになってはいけない」という言葉を実現したいのであれば、どうしても痛みを伴った変革は必要になる。

あれだけ恐ろしく見えた清水エスパルスみたいな相手が、毎週毎週目の前に立ちはだかるのだ。

我々は今年3位にこそつけたが、J2上位陣に対する戦績は決して芳しくなかった。来年も苦しい戦いになることは容易に想像がつく。

あの日あの瞬間、間違いなく俺たちは世界一幸せな人間だったし、その幸せを与えてくれたフットボールという存在に感謝しながら、次はとにかくJ1に齧りつかなくちゃいけない。2週間前の歓喜はそろそろ綺麗な思い出としてしまっておいて、そろそろ来年に向けて気持ちを切り替えて、新しい嬉し涙を流す準備をしなければいけない。

【マッチレポート】J1昇格プレーオフ決勝[H] 清水エスパルス戦『最高の一日』(23.12.3) : 「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

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20231202 J1昇格プレーオフ決勝ホーム清水戦 - costoros-blog

緑の勇者-J1昇格プレーオフ決勝2023-|テム

J2の15年間で探し続けてきたもの。言いたかった言葉 | コンドルとカモメのVoyage

2023 PO清水 : Time waits for no one

・・・そんなことを考えながら、でも他の方々が綴った文章の数々を見て(ここに貼ったのはほんの一部です)やっぱりあの日のことはしっかり形にしておきたかったから、クソほど仕事は忙しいけど、合間を縫って自分も記事を書いていました。とても遅くなってしまったけど、完成させられてよかった。

 

2023年。水戸からの徒歩遠征も楽しかったし、いわき遠征も楽しかったし(これもブログに書いときゃ良かった)、東京ダービーもまあ思い出にはなったし、一生忘れられない年になるだろうな。楽しかったな。

ほんとに、ヴェルディをずっと好きでいて、よかったな。

って胸を張って言えるのが、とにかくたまらなく幸せです。

 

これでもまだまだ書き足りないことだらけだけど、10000文字をゆうに超えてしまったので、そろそろこれくらいで締めさせていただきます。

 

とにかく。改めて、5474日(+14日)分の気持ちを、叫ばせてください。

 

やったぜ!!!!!!!!!!!!!!!!