緑がちる

緑はいつか散ります。でもまた実るものです。ヴェルディ&FM日記(予定)

10年来Jリーグデートをしている僕が思うこと。

tkqさんの例のnote を読んだ。

 

このブログの主題は「Jリーグに観戦初心者を連れていくことの是非」ではあるが、

事のきっかけは、Jリーグ観戦デートを試みる勇者への、識者たちのアドバイスである。

俺は識者でもなんでもないけど、そういえばサッカーどころかスポーツ観戦に1mmも興味のなかった(正確にいうと今もない)妻と、何だかんだ年数回はJリーグデートやってきたなあ、とふと思った。

アドバイスなんて大それたものじゃないけど、一応Jリーグデートにおける持論はあるにはあるし、もしかしたらそれが誰かの役に立つかもしれないので、書き記しておこうと思う。

 

・・・

 

さて。

スタジアムデート

Jリーグを愛し、スタジアムに集う暑苦しい男たちにとって、なんと甘美な響きであろうか。

 

かくいう俺もスタジアムデートに憧れ、味スタで時折見かけるカップルを羨望の眼差しで眺めるティーンであった。

そういや、11年前念願の彼女ができたときも、最初の報告は友人でもTwitter上でもなく2ch東京ヴェルディスレ。我ながらクソキモいな

匿名でイキる俺に「わかった この話はやめよう ハイ!! やめやめ」のウルトラマンゾフィーAAが貼られたのは今でも覚えている。

 

彼女のタイプはどれだ

付き合って半年くらいして、俺にも遂にスタジアムデートの時が訪れた。

一応様子見の期間を置き、彼女を本当にJリーグに誘っていいのか?と探りを入れるくらいの理性は俺にもあった。まして、俺が応援するのは、俗にいう不人気クラブの東京ヴェルディだったし。

 

さて、これまたTwitter2chでさんざん擦られた、有名な画像がこちら。

カードショップ店員が描く「カードショップに来る彼女」”。どうやら彼女たちは4つのタイプに分けられるらしい。

サッカーに興味のない彼女をJリーグに誘った場合も、反応は大方この4パターンなのではないか

Jリーグとカードゲーム界隈。男女比率に大幅な差はあれど(Jリーグの観戦者男女比率は、2019年調査で男性62.4%、女性37.6%。片やカードゲーム界隈、俺はシャドバとハースしか知らないけど、たぶん女子1~2%くらいでしょ)、

やっぱり基本は男に人気の趣味ってことで、共通項は多いと思う。

 

10年前の話に戻ると、俺の彼女はBタイプそのものだった。

「サッカーは全然わからないけど、そんなにべるでぃ?が好きなんだね!観にいこうよ!」

悲願のJリーグデートオファーはあっさり快諾され、2013年6月、俺たちは味スタに足を運び、キローラン木鈴のアホみたいなオウンゴールを2人で目撃した。

記念すべき初スタジアムデートの試合。
彼女が宇都宮出身だったのでこのカードを選んだけど、
結果的にヴェルディにも栃木SCにも彼女はのめり込むことがなかったので、
その選択自体は特に意味をなさなかった。

というわけで、スタジアムデートを実現させたいだけであれば、Bタイプの子を彼女にすべく頑張ればいいのでは、と思う。

 

・・・ええ、愚かな当時の俺は勘違いしており、そして聡明な皆様はお気づきのことかと思うが、

このBタイプの振る舞い、結局AタイプやDタイプのような感情を抱えながらも、それを相手にぶつけられないだけであり、

本当に”べるでぃ”に興味が芽生えたがゆえの態度ではない。いや、断言できるほどの自信はないが、少なくとも自分の彼女の場合はそうだと思う。

さらにいえば、相手に合わせようとするその態度も、その人自身の自我の薄さから来ているケースが多く、何か特定の趣味、それも自分の関心の範疇外だったものに積極的にのめり込みたがるような人間は少なめな気がする。

よって、Bタイプが月日を経てCタイプに変わるなんて甘い期待は、しない方がいい。話を合わせてくれているのをいいことに、一生懸命布教活動をするなんて愚の骨頂だ。

当時の彼女が時を経て”妻”へと変わった、俺からのアドバイスである。

経験がないからあくまで想像だけど、AとかDみたいな子の方が、よっぽど熱心なサポーターになる素質はありそう。最初どういう風に誘うのか、という重大な問いはひとまず棚上げさせていただくとしても、tkq氏の言う「ハードルの高さがいい方に転ぶ」ってのが起きそうである。そうでなくても、AタイプはJリーグ観戦というちょっと奇特な趣味を受け入れる度量もあるタイプのように思える。

あと、影山優佳みたいな根っからのCタイプは、大概既にイケメンのサッカー部彼氏がいる。

 

とにかくキレるな、不機嫌になるな

初スタジアムデートの時から今に至るまで、自分自身に課していることだ。

俺はゴル裏ガチ勢ではないが、かといって菩薩のような人間でもないので、愛するチームが負けると普通に腹立つし、しょうもない失点には声も荒げたくなる。

とはいえ、誘われた側としては、せっかくの休日の貴重な時間をわけわからん場所にいくのに使われて、挙句の果てに連れてきた張本人が怒り出すの、理解の範疇を超えると思う。

なので、キレそうになった時は、突如自分がスタジアムに迷い込んだ野良猫だと思いこむようにして、「にゃぁ」「んーごろごろ」などと呟き、怒りの感情を抑え込むようにしている。

冷静に考えたら、急に猫の鳴き声を発し始める彼氏が隣にいるの、十分アレな状況だと思うのだが、まあなんとか妻には愛想を尽かされずにここまで来ているので、対策としては機能してると思ってる。

あ、あと一人で来たときには猫になるの忘れて普通に悪態ついてる。

 

喜と楽の感情は出せ

ここまで読むと「Jリーグデート、誘う側にも誘われる側にもメリットないじゃん」ってなると思うけど、決してそんなこともなくて。以下、俺の実例。

 

他の男がそいつの彼女の前でどのように振る舞っているのか、俺は知る由もないが、少なくとも俺は妻の前で涙を見せることはほとんどない人間だった。たぶんラ・ラ・ランド観たときはちょっと泣いてたが。

そんな俺が初めて彼女の前で号泣したのが、忘れもしない2017年J2最終節。

我が東京ヴェルディが難敵徳島を破り、初めてJ1昇格POに進出した瞬間である。

 

あの試合で安西幸輝vs馬渡和彰の激アツサイドマッチアップがあったことなど、彼女はすっかり忘れているだろうが、俺がバカみたいに涙と鼻水を流しながら抱きついてきた姿は相当のインパクトがあったらしく、今でもちょくちょくイジられる。妻にとってもその試合はそれなりに楽しい思い出だったようだし、あの姿をみたからこそ、今でもスタジアムに一緒に足を運んでくれるのだと思う。

人が感情を揺さぶられる様には、一定の説得力がある。そして、スタジアムは相当量の感情の揺らぎが生じる場である。

目の前で起こっている事象自体にはそこまで興味がない人間でも、そうした感情の波には、何かしら心を動かされるんじゃないかなあ、って思ってる。

あと、さっきのカードゲーマーの彼女の話に戻るけど、じゃあこのB女子の振る舞いが100%欺瞞かというとそんなはずもないと思ってて、好きな人が楽しそうに何かをしていたら、やっぱり良かったなってなるものだと思う。松坂桃李遊戯王ツイだって「私カードゲームとかよくわからないけど、桃李くんが楽しそうならよかった」というファンの寛大なリプがたくさんつく。

だから、試合が始まったら嬉しい・楽しいの感情は素直に出す(無理して出す必要はないと思うけど)。それが、いいデートにできる最低条件なんじゃないかな。もしかしたらそこに相手がハマってくれるヒントがあるかもしれないし。

繰り返しになるが、初めて観戦に来た人間が、目の前で何が起きているかについて深く興味を持ち、詳細な説明を求めてくるケースは稀だと思うし、だから間違ってもサッカーに関する知識を誇示し、ご高説を垂れる奴になってはいけない

あくまで素直に楽しむ。それがいちばん大事だと思う。

 

アウェイ遠征をうまく織り交ぜろ

話がちょっと脇道にそれてしまうが、妻とのJリーグデートがずっと続いているのは、このアウェイ遠征の魅力によるところが大きい。

北は札幌、南は沖縄まで。いろんな都道府県を訪れるきっかけを与えてくれるのがJリーグであり、妻もその機会を楽しみにしてくれている。

とはいえ、旅先での貴重な2時間3時間を、興味の薄いサッカーに割いていただくという状況には変わりなく、いかに満足感の高い遠征にできるか、綿密なプランニングが要求されるので、そこは注意。全て相手に委ねてしまうと、リストアップされたカフェの営業時間が試合時間と丸被りしてたりして、険悪な空気が流れることになる。

一番手っ取り早いのは、前泊地を比較的高級なお宿にすることなのだが、毎月のようにそんなことをしていたら、まあ我が家は破産確実なので、その辺の塩梅はなかなか難しい。なので、ホーム&アウェイ皆勤賞なんてコアサポ、どうやってパートナーの理解を得ているんでしょうね。普通に知りたい。あと、後泊地にお金かけるのはあまりオススメしない。せっかくいいお部屋や食事や温泉があろうと、負けたあとだと全く楽しめなくなるからだ。

とにかく、年2~3回のアウェイ旅を恒例行事にしたおかげで、未だにサッカーに興味のない妻と俺との間に、常に”ヴェルディ”という存在を置くことができているのは事実である。

一応綿密なプランニングをした例。結果的にプラン通りにはいかなかったが、それもアウェイ遠征の醍醐味

 

ちなみに、そもそもJリーグデート=野外デートになることの過酷さについては、デート先として選ぶクラブの状況にも左右されるので、俺には何とも言えない。

少なくとも俺たちが主に足を運ぶ味の素スタジアムは、ばっちり屋根つきの全天候型(一部例外の席あり)!駅からもそこまで遠くない!トイレもまあ綺麗!西日はまあ眩しいけどメイン側行けば回避できる!という恵まれた環境であり、ゴール裏そのものも非常に牧歌的(ガラガラといってはいけない)であるからして、その辺のハードルの高さを感じたことはあまりない(もしかしたら妻が自衛手段をしっかりと講じてくれていることに、鈍感な俺が気づいていないという可能性は十分にあるが)。

なので、初心者を連れていくなら東京ヴェルディの試合にしろ、という大いなる正論をぶちあげることしか俺はできない。ぜひ参考にしていただきたい。

 

あと、我々夫婦にはまだ子供がいない。

仮に将来何よりも優先すべき存在ができたときに、夫婦のサッカー観戦について同じことを言ってられるのだろうか?という自分自身への興味を最後に書き記して、この文を締めたいと思う。

 

それでは、本日もヴァンフォーレ甲府との試合を観に、

Jリーグデート”、行って参ります。猫にならなきゃいけない状況、今日はないといいのだけれど。