「・・・いやあコロナ禍もようやく一段落というか。そのせいで、って言うのもアレですけど、最近お仕事もプライベートも本当に忙しくて。ちょっと前までは時間を持て余してて、いろんなゲームや映画や音楽にも手を出してたんですけど、めっきりそんな時間もなくなってしまって。なんならここ3年必ずリアルタイムで見ていた東京ヴェルディの試合も、最近は追っかけ再生が関の山ですわ。ベイスターズに至ってはハイライトすらろくに見られてないんですよ。
いやはや、田中さんもお忙しくされてるみたいで。聞きましたよ、ゴールデンウィークは久々に海外に行かれるとか。あ、台湾で食い倒れ旅ですか?いいですねえ。前から行きたいって言ってましたもんね。まだかなりの円安ですけど、とはいえもう3年以上も待ちぼうけくらってますからねえ。行きたい時が行くべき時ですよ、ええ。お気をつけて。
え、僕のゴールデンウィークの予定ですか?はっはっは、よくぞ聞いてくれました。
東京都の調布市まで、4日間かけて移動しようと思ってるんですよ。
・・・徒歩で。」
・・・
すっかり飲み会が増えたここ最近の、俺の鉄板宴席ネタである。
といっても、この話がどっかんバカウケ大好評だと思っている人間はおそらく俺だけで、妻に家族に友人知人、職場の同僚に至るまで、この計画を話した人間から肯定的な反応を得られることはまずなかったし、なんなら間違いなくうっすら引かれているのだが、
まあ飲み会なんて場所は本人が楽しければそれでいいわけだし、自己満足をぶつけ合う果てなき不毛な時間であることなど、JTCなメーカーに勤めて早8年ともなればもはや受け入れてしまっているわけで、そしてその悪しき文化の継承者になりつつあるわけで、ええと、何の話だっけ。
そうそう、ワタクシ緑がちるは、
4/29(土)17:00~水戸ホーリーホックvs東京ヴェルディ@ケーズデンキスタジアムを観戦した後、
翌4/30(日)~5/3(水)の4日間をぶっ続けでぼっち徒歩移動し、
5/3(水)17:00~東京ヴェルディvsジュビロ磐田@味の素スタジアムの試合に再び馳せ参じます。
水戸〜東京、徒歩での総移動距離、締めて約130㎞。
「母をたずねて三千里」ならぬ、「ヴェルディ追いかけ三十三里」に挑戦するわけである。っていうか、冒頭の会話みたいな忙しいアピールをしてる割には、貴重なGWの半分をただ黙々と歩くことにだけ費やすなんて、限りなく時間を持て余した奴でしかないよな、マジで。
とにかく、こんな話をするとオーディエンスの皆様から返ってくるのが、「なんで歩くの?」という至極真っ当な問いである。
例えばこんな理由、
「スタートダッシュにこそ成功したものの、直近3週間で3敗している我がチーム、このままじゃ去年の二の舞になりかねん。ここはワイ将20年来ヴサポの意地の見せ所、いっちょ気合の入ったパフォーマンスをお披露目し、チームに喝を与えんとす」とでも言えば、ヴェルディサポとして格好がつくかもしれない。ただ、正直に白状するけど、そんな想いは1ミリたりともないし、そもそも冷静に考えて何の格好がつくというのか。
以前ブログに書いたけど、この徒歩遠征は去年の夏からずっと温めていた構想。
そして、今シーズンの日程を見た瞬間に、もうホテル等々の準備を進めてたんです。なので、今のチーム状態がどうあろうと関係なかった。
いや、もしこれでチームがどん底の状況で、当日どうしようもない負け試合を観させられたときに、
選手に対して「お前ら全員歩いて帰れ」とかいう無責任なヤジではなく、「一緒に歩いて帰ろうよ」という実に真摯な罵声を飛ばすことができるなあ、とかちらっと考えたことはあるが、
今の城福ヴェルディは5位につけているし、そんな言葉を飛ばしたくなるような不甲斐ない負け方はしない、と信じたいものである。
かといって、元々ウォーキングを趣味としていて、その延長線上で…といった類の話でもない。俺は普段運動なんてほとんどしないダメ社会人だし。
あと、一応ブロガーの端くれとして、体を張ったネタを提供したいという気持ちも正直なくはないのだが、とはいえただ歩くだけの起伏のない4日間を、どうやってブログに仕立て上げるんだ、という根本的な問題がある。ぶっちゃけネタとしても全然美味しくない。
いろいろと考えてみた結果、俺は20代のうちに学生時代のルサンチマンを解消したがっているのでは、という説が出てきた。
俺の周りのキラキラした奴らは決してそれを明かすことはないが、正しく青春を謳歌した人間は、何やら学生時代に「長距離ウォーキング」という経験をしていると云う。
おい、なんだ、そこの陽キャ、意味が分からねえって顔しやがって?しらばっくれてもムダだ、俺はたくさん本を読むんだ。恩田陸の「夜のピクニック」に間違いなくそう書いてあったぞ。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていたりとか、そういう長距離歩行の経験をお前もしたんだろう。
他にもあったはずだぞこういう話、「一瞬の風になれ」は、いや違うなあれはスプリンターの話か、「風が強く吹いている」は駅伝だっけ、「八甲田山」…いや、違う違う、まあ正直記憶はあいまいなのだが、とにかくそのくらいのことは知っている。知っていると言ったら知っているのだ。
翻って、青春を謳歌できなかった俺のような人間は、すなわちそんな経験もなく、だからこそ、この歳になって失われたキラキラを欲し、突如ウォーキングに目覚めたりするわけだ。
その証拠に、近所でウォーキングだのランニングだのしているオトナたちを見てみろ。あと、明治安田生命Jリーグウォーキングとかいう謎のアプリで、ランキングの上位に来ている面子を見てみろ。どちらかというと学生時代は(以下自粛)
・・・
まあ、本当にこれという確固たる理由はないのだが、
華の93年杉本竜士世代、今年30歳を迎える俺にとって、ふとした無謀な思い付きを気軽に実行できる猶予も残り僅かだと思っているので、とにかくやるだけやってみようと思う。意義なんて後からついてくる。たぶん。
さて、以下おおまかな日程。
4/29(土)0日目
この日はのんびり電車で水戸まで赴き、どこかで昼飯を頂き、ゆっくりスタジアムイン予定。ケーズデンキスタジアムはたぶん2017年以来だと思う。もうだいぶ記憶も曖昧。
なお、この前友人の結婚式で初めてお会いし喋ったところ、まさかのヴサポ同士であることが発覚した学友がいるのだが、この日はその彼との初観戦である。楽しみ楽しみ。
試合後は茨城県庁付近に宿を取っている。愛するチームの勝利を見届け、明日から始まる個人的な闘いへのモチベーションを高めながら、床につくであろうことは言うまでもない。
4/30(日)1日目
さあ、ぼっち徒歩遠征の始まりだ。この日は国道6号線をひたすら南下し、土浦駅まで約40kmのウォーキング。
朝7時くらいに出発し、日没までには到着したいと思っているのだが、俺の見立ては甘いだろうか。あと、今のところこの日は降雨予報であり、初日からいきなり試練である。
すみません、俺全然茨城の地理事情に詳しくないのですが、国道沿いならそれなりにお店とかありますよね?突然ぽんぽんぺいんとかに襲われても何とかなるレベルですよね??最悪膝やってしまったらタクシー呼べますよね・・・
あと、せっかくなら中世城郭の遺構がほぼ保たれているという小幡城跡にも寄りたいなあ、と思っていたのだが、微妙にルートから逸れるのと、雨だとかなり足元悪そうだから、今回はお預けかなあ。
5/1(月)2日目
この日も基本国道6号線を南下。景色が代わり映えしなさすぎて、途中で気がおかしくなりそう。ただ、出発地の土浦から霞ケ浦を望んだり、途中の牛久あたりで牛久沼を見たり、大仏を遠くに見つけたり、といった楽しみはあるのではないか。知らんけど。
利根川を渡って千葉県に突入、目的地我孫子駅までの所要距離は約32kmです。
この日の夜に服をぜんぶ洗濯したいんだけど、そんな余力は残っているのだろうか。
5/2(火)3日目
既に地獄のようなコンディションになっているであろうことは容易に想像がつくが、それでも足を前に進めなければ味スタには届かない。この日は東京のど真ん中後楽園を目指し、約34kmの道のりを行く。
我孫子を出てすぐに柏スタジアムのすぐ横を通ったり、東京都に入ってからは、江戸川・中川・荒川・隅田川を渡ったりと、なかなか魅力の多い行程になりそうなものだが、あとはそれを楽しむ余裕が俺にまだあるのかどうか。
5/3(水)4日目
最終日は、後楽園から味スタを目指し、東京を横断していく。ラストスパートは少し控えめの距離だけど、それでも約23km。
俺、応援しているチームこそ東京ヴェルディだけど、生まれも育ちも生粋の神奈川県民だし、一応大学生の時は都内に通学していたとはいえ、その所在地は23区外のど田舎だったりしたので、正直新宿区も中野区も杉並区も三鷹も未知の場所だったりする。
東京という街を改めて五感で味わいながらのんびりといきたいところだが、そんなペースで17:00の試合開始に間に合うのだろうか。
そして、今回の徒歩遠征のために用意したものがこちら。
準備したもの
・靴(アシックス/エボライド3)
以前神奈川県の自宅から味スタまで徒歩遠征したときにも使用した靴。スポーツオーソリティみなとみらい店で研修中の札をぶら下げたお兄さんが、ソールも含めて一生懸命選んでくれただけあって、歩き心地は最高。
ただ、既に半年以上使用しているので、今回100km超えの長距離ウォーキングに耐えられるのかどうか、一抹の不安はある。
・靴下(スマートウールのメリノソックス)
ちょっとお値段は張るけど、このソックスはすごく好き。
・スポーツレギンス(ユニクロ)
履くと足がひんやりして気持ちが良い。加圧効果云々がどれほどウォーキングの負荷を減らしてくれているかは、正直よく分からない。
・スマートウォッチ(Garmin/Venu 2S)
みんな大好きガーミンくん。ただし、俺が持っているのはランナー用でもフラッグシップモデルでもないため、GPSはついているけど、ナビとしては使えない。よって、スマホの充電が切れた時点で、俺は途方に暮れる。
ぶっちゃけ本なんて読んでる暇はなさそうなものだが、一方で徒歩遠征を終えたらすぐに図書館の返却期限が来てしまうので、一応カバンに忍ばせておく。文学史に燦然と輝く名著に物申すのはアレなんですけど、あの、コーリャ少年のパートは流石にちょっと冗長じゃない?そのせいでなかなか第4部が読み進められないのだが。
準備した(と思っている)もの
・妻の理解
準備できなかったもの
・万全な膝のコンディション
今月頭のノットフェスで暴れすぎた結果、今なお右膝に違和感を抱えたまま、本遠征に臨むことになる。やっぱ幕張メッセのような固いコンクリートの上で、激しい運動したらアカンということですね。札幌ドームよりエスコンフィールド。
・・・
というわけで、関係ないことばかり長々と書いてきましたが、
これをもって、#水戸〜東京130㎞徒歩遠征 の決意表明とさせて頂きます。
さすがに4日間ぼっちの徒歩旅は肉体的にも精神的にもキツイので、普段ほとんど呟かないTwitterでも、ちょくちょく旅の経過を更新していきながら、頑張っていければと思います。もしうるさかったらこのハッシュタグでミュートしてね。
あと、こんな文を書いた後に予防線張るのはダサいんですけど、とはいえ日頃全く運動をしていない人間が突然やる無謀な挑戦なので、まあ途中でギブアップするならそれもそれでありかな、とか思ってます。何より大事なのは、無事東京まで帰ってきて、磐田戦をバッチリ観戦することだし。
もし俺が力尽きてたら、その時は存分に笑ってやってください。
それでは、徒歩遠征、張り切って行ってまいります!!!