「さあ行こうぜ 男なら」
「気持ちを見せろ ヴェルディアーレ」
「俺たちのパス回せば」
「ガスに負けるはずがない」
はい。
のっけからキッズサポみたいなやんちゃ極まりないテンションですみません。
いきなりチャントなんか歌っちゃって、我ながら照れちゃうね。
このチャント、そもそもご存じです?
僕、実はリアルではまだ歌ったことないのよ。
前々回
「天王山」Football Manager日記 Vol.34 - 緑がちる
そして前回でも予告をさせて頂きましたが、
ついにこの日を迎えました、11年ぶりの東京ダービー。
そも、東京ダービーとは何ぞやというと・・・
(世代ではないので後追いの知識です。誤りがあればご教示を)
2000年に「東京」の名を冠するクラブとして初めてJ1に昇格し、
今では国内屈指のビッグクラブへと成長を遂げたFC東京と、
FC東京に遅れること1年、川崎からのホームタウン移転により、
同じく東京のクラブとして活動を続けてきた東京ヴェルディ。
ともに同じ東京スタジアム(現味の素スタジアム)をホームとするクラブ同士の一戦、
これが東京ダービーです。
そもそもこのスタジアムの誕生が、東京ダービーの歴史の始まり。
もともとJSLの古豪であり、多数の日本代表選手を輩出していた読売サッカークラブ。
1991年のJリーグ発足の際には「ヴェルディ川崎」というクラブ名となり、初年度から参入を果たしました。
当時のヴェルディのホームタウンは川崎市。ホームスタジアムは等々力競技場。
ですが、これは親会社読売の本望ではありませんでした。
練習場であるよみうりランドが、東京都稲城市と神奈川県川崎市にまたがって位置しているとはいえ、
読売の希望はあくまで首都東京をホームとすること。
しかし、当時は都内にJのホーム基準を満たすスタジアムが存在せず。
やむをえず等々力をホームとしていましたが、収容人数の問題等もあり、
ビッグマッチであるチャンピオンシップは国立競技場での開催とするなど、
ホームタウン川崎への愛はないチームであった、といって差し支えないでしょう。
かの読売社長ナベツネも、ヴェルディを全国区のクラブとすること、そしてホームタウンを東京へ移転する意思を隠さず、
「地域密着」の理念を掲げたJリーグ側と対立をしていました。
J開幕当初は、スター選手を擁し華々しい戦績を残したヴェルディ川崎も、
1998年に読売新聞社が経営から撤退。
有名選手の退団・高齢化もあいまって、その勢いは急速に落ちていきます。
(さらにいえば、富士通サッカー部を前身とする川崎フロンターレが頭角を現し、1999年には川崎市も市民後援会を発足させるなど、
川崎=フロンターレという図式も鮮明になります)
一方、こちらも古豪の東京ガスサッカー部(発足は1935年と、読売クラブよりさらに長い歴史を持ちます)を前身とし、1999年に念願のJ加入を果たしたFC東京。
翌2000年にはJ1に昇格し、「キング・オブ・トーキョー」と称されるFWアマラオや、後に日本代表にも定着するGK土肥らの存在もあり、年間総合順位はヴェルディを上回る7位につけます。
観客動員数も2000年時点で(当時は国立と駒沢をホームスタジアムとして使用していましたが)平均1万人を突破するなど、
既に東京に根差したクラブとなりつつありました。
そしてついに2001年、東京都調布市に東京スタジアムが完成。
これに伴い、かねてより東京をホームタウンとしていたFC東京に加え、
「川崎市での経営不振」等を理由に、ヴェルディも川崎からの移転を申請し、
このスタジアムをホームに「東京ヴェルディ」と名を変えて再スタートをすることが決まります。
移転決定の記事はこちら。
そして、当時の誘致活動の空気感を記したFC東京サポの方のお話はこちら。
全国区クラブとしての野望が潰え、強力な後ろ盾であった読売新聞も経営から手を引き(とはいえ2008年までは日テレが全額出資していたわけですが)
再起を図り東京に乗り込んできたヴェルディと、
東京の名を冠した初のJ1クラブという自負があり、
地元のサポーターの支持を得て躍進を果たしてきたFC東京。
色々な視座があると思いますし、当時の状況を知らない自分が断言することはできませんが、
この東京ダービーにおいては、大義はFC東京にあると自分は思います。
とはいえ、その大義名分を振りかざせる立場であることも影響してか、
もしくは(日本代表ウルトラスの中心人物でもある)コアサポの植田朝日氏のキャラクターにも依るのでしょう、
良くも悪くもアグレッシブなFC東京のサポーターの性質なのか、
先鋭化した一部のサポが2005年のダービーで傷害事件を起こしたり、
ユースチームのダービーマッチにおいて、ヴェルディクラブハウスに落書きをするサポも現れたり。
また、2008年のダービーでは、今度はヴェルディサポ側が暴行騒ぎを起こしたりとか。
このように、因縁を深めることになった過去のダービーマッチ。
先述のように、両者のクラブとしての格の差が広がり続けている現状、
FC東京がJ2に降格、そして1年での昇格を決めていった2011年を最後に、
公式戦での東京ダービーは行われておりません。
ちなみに。
2003年からヴェルディを応援している自分ですが、
こういった東京ダービーの経緯はおろか、ダービーマッチでのトラブルなんかも全く知らず、
やっと諸々のお話を把握したのが、ネットでサッカー情報を漁るようになった2009年頃。
正直それまではFC東京に特別な感情もなかったですし、
なんなら今でも「彼らに嫌われていることは知ってる、だから僕も彼らが嫌い」というくらいかな。
言ってしまえば自分たちが「ヨミウリ」を応援しているという意識が希薄だし、
自分が知った時にはすでに東京にヴェルディがあったし(自分の祖父母が稲城市に住んでいるので、ヴェルディとの縁はそこから)、
彼らから向けられる「くたばれヨミウリ」「川崎帰れ」という敵意がイマイチ刺さらないのです。
(それより地元川崎のあんまりサッカー興味ない同僚から言われた「私ヴェルディって嫌いなんだよねえ」って何気ない一言の方がグサグサきた。やはり川崎に後ろ足で砂をかけて出ていった業は深い)
どうだろう、FC東京のサポーターの中にも、こういった因縁を肌感覚で分からない世代のサポもだいぶ増えてきているはずで。
逆に「凋落したヴェルディなんか、もはや意識する相手でもない」という層も一定数いるはずで。
そういう意味では、2012年元旦、京都との天皇杯決勝後に、
何の脈絡もなく「ヴェルディだけには負けられない」を歌ってた彼らに対する違和感は、10年近くたった今でも未だに拭えていないのです。
本当に大多数のサポが、あのときあの場所でそれを歌うのを本当に望んでたの?とか。
ま、当事者でもないヴェルディサポの自分が、勝手に彼らの心情を慮るなよ、って話ですけどね(笑)
まあでもこれってどこの国のダービーマッチでもそんなものなのかもね。
理屈ではよくわかってない、でも嫌いだから嫌い、
因縁の関係なんてのは、解きほぐせばそんなものかもしれない。
(見下しであれ冷笑であれ)FC東京サポの大多数の意識の中にまだ我々がいるうちに、
何とかしてJ1で再び相まみえたいところなのだけど。
めちゃくちゃ長々と、とりとめのない文章を書いてしまいました。
ゲーム内のダービーマッチに話を戻します。
2022年7月27日(水)第18節
味の素スタジアムでのFC東京とのダービーマッチ(ホーム側はヴェルディ)。
スタメンはさんざん悩みましたが、新加入のラファエルと荻原をいきなり起用することに決定。
中盤の底には山本、トップ下には森田と、
「青赤に負けてはならぬ」と教え込まれてきた下部組織上がりの選手も起用。
さあ、11年ぶりのダービーマッチ、
いよいよキックオフ!!
前半3分、いきなりのアクシデントがヴェルディを襲います。
相手との接触のない場面で、いきなりピッチに座り込んでしまった森田。
どうやら右足のふとももに違和感ということで、そのまま石浦との交代を余儀なくされる。
いきなりの負傷交代でバタつくヴェルディイレブン。
前半5分には、LSB小川のプレースキックから元シリア代表のCDFアルサリフに頭で合わせられるも、これはバーの上。
前半14分にも、
RSH関根の鋭いプレスバックでボールを奪ったFC東京。
三田→ディエゴオリベイラと繋ぎ、そこから裏へ絶妙なボールが・・・!
しかしこれはオフサイド!!
ただし、守備の人数が揃っていても、一瞬の裏抜けでチャンスを作れる個の能力はやはり脅威。
前半16分には、対面のレアンドロに手を焼いていたRWBの藤谷が警告を受ける。
ま、このくらいタイトに削りに行くくらいじゃないと、今日の勝負はモノにできないし、悪くないイエローでしょ(二枚目には気をつけて・・・)
対するヴェルディも、イスマイラとラファエルの外国人2トップがまずまず機能。
29分にはイスマイラのクロスにラファエルが頭で合わせるも、これはベトナム代表GKダンバンラムの正面。
一進一退の白熱した試合の中、均衡が破れたかに見えたのは44分。
またもLSB小川のFKに、どフリーとなったCDFアルサリフがきっちり左足でゴールに流し込む!!
しかしこれはオフサイド!!
ヴェルディは辛くも難を逃れます。
これにて前半は終了。
ややFC東京が優勢ながら、スコアレスでハーフタイムを迎えます。
東京V0-0F東京
ハーフタイム間のメンバー交代は両者なし。
後半に入っても流れはFC東京。
54分には敵陣深くまで切れ込んだアダイウトンのクロスから、最後は三田が頭で合わせますが、これは惜しくも枠外。
既にイエローを受けているRWBの藤谷、
まだコンディションが万全でない中でスタメンとなった新加入のLWB荻原、
この両翼に代え川井と高江を投入したヴェルディ。
とりわけ、この日LWBに投入された高江からチャンスが何度も生まれます。
63分、その高江の鋭いプレースキックに、見事合わせたのは新加入のCFWラファエル!!
かと思われましたが、こちらもオフサイドでゴール取り消し!!
ぬか喜びとなったヴェルディサポ、ほっと胸をなでおろすFC東京サポ。
しかし、この後もヴェルディが波に乗ります。
75分、左サイドから果敢に仕掛けた高江、FC東京のCMF郷家がこれを止められずペナ内でファール!!
東京ヴェルディがPKを奪取!!
ボールに向かったのは新加入のラファエル。大丈夫だろうな・・・と全ヴェルディサポが固唾をのんで見守る刹那・・・
心配ご無用!!見事豪快に蹴り込んだラファエル!!
ついに先制したのは我らが東京ヴェルディ!!
東京V1-0F東京
新加入のラファエル、ここまで必死に体を張ったプレーを見せており、
それが見事報われたPK弾。最高のデビュー戦となります。
その後、11人全員で必死に守る東京ヴェルディ。
試合終了間際の92分には、小川の直接FKをラファエルが決死のブロック。
そしてラストワンプレー、
ジュニア時代からヴェルディ一筋の山本理仁がスライディングタックルでRSB中村を阻止、
ここでタイムアップの笛!!
東京ヴェルディ、11年ぶりの東京ダービーを見事制しました!!
お見事!!実にお見事!!!
東京V1-0F東京
いやーいろいろ御託並べましたけど、
やっぱりFC東京に勝つのは素直に嬉しい。ゲーム内だけど試合終了のホイッスル聞いて声出ちゃったもん(笑)
たかがゲーム内での出来事なんですけど、
でもこうして改めて東京ダービーについて振り返ってみて、
やっぱり現実でもFC東京とダービーやりてえよな、って素直に思った。思ってしまった。
なんかそういうの興味ねえっすわ的なスタンスでいたかったけど(笑)
マリノスにせよFC東京にせよ、互いの順位やチーム状況も関係なく熱くなれる対戦、
ほとんど経験したことのない世代としては、やっぱり焦がれるものがあるんですよね。
冒頭のあのチャント、あれ東京ダービー専用のチャントなんですけど、
いまだにスタジアムで歌ったことないので、ぜひ、いつの日か。
とはいえ、FC東京が今の立場を築いたのも、足場を固めるためのクラブの地道な活動、そしてサポーターの長きにわたる貢献のおかげであることは間違いないでしょう。
差をつけられてしまった我らがヴェルディも、
一足飛びに追いつけ追い越せというわけにはいかないでしょうし。
まずは自分を含むサポ一人一人がチームに貢献していかなきゃね。
手始めに来年のファンクラブ更新するところからかな。
https://www.verdy.co.jp/lp/stfc/2022fc_top/
皆さんも、よかったらヴェルディ観戦、どうですか。
熱くてやんちゃなFC東京のゴール裏と対照的に、
のんびりまったりな東京ヴェルディのゴール裏もいいもんですよ。
試合内容も波は激しいけど、
若き才能たちがハマったときに見せる魅力的なサッカーは唯一無二。
あとキボンの弁当がクソ美味いよ。
この記事だけで6,000文字を超え、
載っけたGIF画像の容量も、既に今月分のはてブ写真の上限を迎えそうなので、
そろそろこの辺で。
では。