さて。
昨日はヴェルディの敗戦を見届けた後、やけ酒からの早めのふて寝を決め込んでいたのですが。
朝、二日酔いの頭痛に苛まれながらスマホをいじる僕の目に、ショッキングなニュースが飛び込んできました。
イビチャ・オシム氏、逝去。
僕の中で、やはりオシム氏は絶対的な存在でした。
思い返すと。
僕がヴェルディをきっかけにJリーグを見始めたのは2002年。
当時は日韓W杯でサッカー熱も凄まじいご時世だったと記憶しています。
オシム氏がジェフユナイテッド市原の監督に就任したのが翌2003年ですから、一応自分も彼の日本での活躍をリアルタイムで追っかけている世代になります。
とはいえ。
当時はサッカーの奥深さも全く理解していない(まァ今も理解しているかといわれると怪しいけどさ)未熟すぎたガキの時分、
僕の中のサッカー界は、日本代表と東京ヴェルディを中心に回っていましたので、
オシム氏の監督としての功績、とりわけジェフの監督時代の姿については、お恥ずかしいことにほとんど覚えていません。
唯一記憶にあるのは、森本がJデビュー弾を決めた04年の味スタでの市原戦。
初めて生で観たオシム氏は、ガタイのいいプロスポーツ選手たちの中でも頭一つ抜けた巨体をのそのそと動かしており、「思った以上にデケえな」とその威厳に圧倒された記憶があります。よく考えるとそれしか記憶にないという(笑)
※その時の試合の試合後インタビューがジェフ公式に残っていました。森本に関するコメントが、年齢云々関係なく、彼を一人のプロとしてリスペクトしたものであり、オシム氏の人柄が伺えますよね。
https://jefunited.co.jp/top/matches/2004/0505/interview/
その後日本代表監督に就任した際も、
自身の求める基準をもとに、国内組を中心に新たな面々を抜擢したことは、Jリーグサポーターとして率直に嬉しかったし、
オーストラリア戦やスイス戦で見せた新しい日本代表の姿にワクワクしたのは覚えているけど、でも正直おぼろげではあって。
別にオシムジャパンを否定したいわけではなく、単純に僕が学生生活に忙しく、しっかりと覚えていないだけなのですが(笑)
僕にとってのオシム氏は、むしろ監督業を離れたその後にあるかもしれません。
高校生になり、ウイイレやサカつくの影響でサッカーにどっぷりとハマった僕。
WSDやサカマガサカダイ、そしてフットボリスタやNumber等、
とにかく”サッカー”と名の付く記事はあらかた目を通すほどだったのですが、
その中でも、Numberに定期的に掲載されていたオシム氏の記事がとても好きで、絶対に読んでいた。
ライターの1の質問に対して、10も20も言葉が返ってくる。
どんな具体的な事柄に対して意見を求められても、彼が言葉を紡ぐうちに、最後は婉曲な人生訓にまで辿りつく。
自身の言葉に重みをもたせる引き出しの多さも圧倒的で、「この人、いくつかの格言は自作してんじゃないか?」って疑ったくらい(笑)
こんな凄い人間が日本で監督をやっていたのか、と圧倒されると同時に、視野の狭かった当時の僕は、
「このような含蓄のある言葉を次々と紡ぎだせる人間が、どうして政治家でも大学の教授でも小説家でもなく、サッカーの監督なんかやっていたんだ」とすら思ったのです(笑)
逆に言えば、それだけ懐が深く、絶えず形を変え、対峙する人間に思索を求めるのがサッカーというスポーツなのかもしれない。
彼自身も「サッカーとは、総合的に考えて、これが理想の形だ、というものがない。だからこそ魅力的なんだ」って言ってた記憶があるし。
旧ユーゴ監督時代の壮絶な逸話も含めて、文化的な意味でのサッカーの偉大さを、彼を通して理解したような気がします。
ま、蛇足かもしれんけど、細かい話の内容については「ん?」って思うこともまあまああったけどね(笑)
水野選手なんかが最たる例でしたが、やはり教え子に対する評価はどうしても甘くなりがちだったし、
南アフリカW杯直前に、例の「古い井戸に水があるのに新しい井戸を掘るのはやめた方がいい」って格言を持ち出して、中村俊輔を中心に据えるべき、って意見してたりとか。
ただ、そんなことはどうでもよくて。
もしかしたら、自分にとってオシム氏の記事を読むことは、好きなバラエティ番組を観るような感覚だったかもしれません。
サッカーに関する具体的な知識や見解を求めて読むというよりは、
その時々の(時にはサッカーに留まらない)トピックについて、
毎度厳しさとユーモアとアイロニーをもって語る、彼の変わらない言葉に触れることで、ほっとするというか。
(方向性はちょっと違うけど、張本氏の「喝」を求めてサンデーモーニングを見たくなるような気持ちと近いかもしれない)
そして、一番多感なあの時期に、彼の記事を読み漁ったことによって、
間違いなくオシム氏の言葉は、自分の人生観を形成していった要素の中に多分に含まれています。
もっとも好きな彼の記事のひとつです。阿部勇樹にとっては、これがオシム氏との最後の対面になってしまったのだろうか。
今、監督業を疑似体験できるFootball Managerというゲームにドはまりして、あまつさえプレイ日記なるものまでこんな風にこしらえてるのだって、オシム氏のような監督への憧れがどこかにあるのでしょうし、
ゲーム内でのインタビューで皮肉に満ちた回答を選び、一人にやっとしてしまうのも、やはりそこにオシム氏の影がちらつくからでしょう。
だから僕にとってオシム氏は絶対的な存在で、
偉大なる監督、といえばそれはすなわち彼のことで、
そしてそれが失われた喪失感は、本当に大きい。
だけど。
”オシムチルドレン”と称された面々も軒並みスパイクを脱ぎ、それぞれ別の道を進み始めています。
指導者という直接的な形なのか、それ以外の方法になるのかは彼ら各々の決断にゆだねられますが、
オシム氏の遺した哲学を継承した彼らが、今後の日本サッカー界をますます発展させていくことで、
オシム氏もまた、日本サッカー界の中で生き続けていくのでしょう。
さて、ようやく前回
の続き。
我が箱庭の2023シーズンでは、J1とACLを戦い抜いている我らがヴェルディ。
ACLは無事グループステージを突破し、
リーグ戦でも首位川崎に次ぐ2位につけています。
そして2023年4月22日(土)
その川崎フロンターレとアウェイで激突。
両者の勝ち点差は5、ヴェルディとしては何とか食らいついていきたいところですが、
本世界戦上のフロンターレは、三笘や田中碧、旗手といった面々が残留しているのに加え、
マリノスからレオセアラーや喜田、札幌からチャナティップ(現実と同じだね)、そして海外から三好や橋岡の帰還も実現させている等、圧倒的な戦力を有しています。
5バックでレーンを埋め、まずは勝ち点1を奪い取る、という戦い方もよぎったのですが、
オシム氏に「リスクを冒さないサッカーは、塩とコショウの入っていないスープと同じだ」と叱咤されそうなので、
今シーズンのメインシステムとなりつつある4-3-1-2を継続し、あくまで勝ち点3を狙いに行きます。
その強気の姿勢が思わぬ形で実ったのか、前半わずか2分。
敵陣でのセットプレー、CMF小西が蹴ったボールにフリーで反応したのはCDFブエノ!!
王者の慢心につけこむ一発!ヴェルディが幸先よく先制します。
川崎0-1東京V
川崎もチャナティップとレオセアラーを中心に反撃。
33分にはチャナティップが左サイドから切れ込みクロス、これはGKマテウスが防ぎますが、こぼれ球をCMF喜田がダイレクトでシュート!
しかしこれは枠を外れます。
エンド替わって後半も、ヴェルディが能動的にボールを握り、川崎を攻め立てます。
49分には、中央突破からCFW高田が見事ネットを揺らしますが、これは惜しくもオフサイド。
55分にも左サイドを抜け出したLSB荻原がエリア内に持ち込んでシュートを放ちますが、これはGKクソンユンの正面を突きます。
すると試合終盤の82分。
自陣深くで川崎が得たセットプレー、蹴るのはチャナティップ・・・
見事直接ネットを揺らすファインゴール!!
川崎が土壇場で同点とします!!!
川崎1-1東京V
試合はこのまま終了。
ゴールは互いにセットプレーからの1点ずつのみ。
過去のオシム氏の磐田戦のコメントを借りると、
「ウチにとっても川崎にとってもタメにならない引き分けだが、全部を計算してもウチには好結果のドローともいえる」といったところでしょうか。
https://jefunited.co.jp/sp/top/matches/2003/1025/interview/index.html
実際、その後中3日で迎えた2023年4月26日(水)横浜F・マリノス戦では、
今季不調にあえぐライバル相手に2-0で完勝!!
その後、ホームに戻って迎えた4月29日(土)コンサドーレ札幌戦でも、
同じく2-0で連勝を飾り2位をキープ、チームは好調を維持しています。
昨シーズンは昇格組ながら4位と大健闘を果たした東京ヴェルディですが、
今シーズンはもっと上を目指し続けなければいけません、なにせ空は果てしないのです。
オシム氏のような偉大なる監督になるべく、精進せねばなりません。
ま、ゲーム内の話とはいえね(笑)
では。
イビチャオシム氏、彼の功績に敬意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします
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